私たち日本人引き揚げ者を乗せた
臨時列車は南風崎駅を出発しました。
九州の南風崎を出発したのですから
本州に渡るのに、関門トンネルを通ります
海底トンネルですからどんなトンネルかと
期待していました。
… … …
やがて関門トンネルを通りますが
別に海底だからというのでもなく
普通のトンネルでした。
水族館のように魚の間を通るわけでも
ないのですから当たり前です。
私たちが乗車した臨時列車は客車で
ちゃんと椅子に座れたのですから
文句はないのですが…
客車の窓がガラス窓ではなく
窓枠に木が張られていて
外が見えないのでした。
日本が戦争に負けて、
世の中が大変だったのでしょう
… … …
この臨時列車は午後、出発して
本州に向かったのですから
日が暮れてきて暗くなっていました。
やがて列車は広島を通過します。
広島には新型爆弾(原子爆弾)が
投下されて壊滅したと聞いていたので
窓の隙間からあたりを見回したのですが
外は真っ暗で町の様子はわかりません
でした…