■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 モジュール化で小型農業用ロボットの普及目指す 94109A10
経営コンサルタントを40年余やってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。
【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。
また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。
■ モジュール化で小型農業用ロボットの普及目指す 94109A26
人手不足と高齢化が進む産業界。とりわけ運送業や建設、飲食・小売り、介護などの分野は、外国人の活用や従業員の待遇改善に迫られるほど人手不足が顕著だ。ただ、それ以上に深刻な業種がある。就業人口が2000年の398万人から2017年には181万人に半減し、就業者の平均年齢が同61.1歳から同66.7歳へと高齢化が進んだ「農業」である。対策として、大規模農場でGPS(全地球測位システム)を搭載した無人トラクターの自動走行や、ドローンを使った農薬散布などの実用化も進んでいる。
これに対し、「実は小型の農業用ロボットへの期待の方が大きい」と話すのは、宇都宮大学発ベンチャーであるアイ・イート(栃木県宇都宮市)の高橋庸平社長だ。長さ1メートル、幅80センチ程度の箱型車体を持つ4輪で自動走行する小型農業用ロボットを開発し、研究開発用途向けに販売している。100キロまでの重さのモノが運べるため、収穫した作物の運搬はロボットに任せ、高齢者でも働くことできる。1玉4キロもある業務用白菜の収穫作業は通常、運ぶだけのために重機を運転する人も必要だが、ロボットを使えば1人で済む。
同社のロボットの特徴は、4輪ロボットをベースシステムとし、観察や収穫、運搬、整地など作業に応じてモジュールを追加・変更できる点だ。例えば、まず収穫時の運搬用モジュールを搭載したロボットを購入し、その後、必要に応じて整地用のブレードモジュールを追加でき、初期投資を抑えられる。「一口に農業といっても、穀物、野菜、果実、畜産など扱うモノや場所、やり方などが違い、作業内容も多種多様だ。一つの大きな市場ではなく、小さな市場がたくさん集まっており、工業的に見て、個別の状況に合わせた専用ロボットの開発はコスト面で現実的でない」という。
また、複数の企業と共同で分散開発を志向している点も特徴だ。個別の作業に適したモジュールは、その分野が得意な企業に開発を任せ、協働で農業ロボット市場を創るという発想である。この方法なら、技術革新に伴う最新鋭技術を常に取り込むことも可能になる。2019年中に複数の協働開発相手とともに、新たなモジュールロボットを開発し、レンタル・販売する計画だ。
高橋さんは宇都宮大大学院の修士課程に在籍していた2015年に、学生向けビジネスプランコンテスト「キャンパスベンチャーグランプリ東京大会」で大賞を受賞した。当時の受賞プランは「完熟イチゴのブランディング事業」だったが、その後、小型農業用ロボット事業に舵を切った。「小型農業ロボットの産業化に向け、今後2~3年間が勝負になる」と高橋さん。2019年度は博士号を取得するとともに、ビジネスモデルの実現という「大賞」を狙う考えだ。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成
![](https://s.yimg.jp/images/socialproducts/blog/img2/emoji/065.png)