経営コンサルタントへの道

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【カシャリ!庭園めぐりの旅】 島根県安来市 足立美術館 横山大観他の日本画と枯山水庭園

2022-11-22 14:18:08 | 【カシャリ!庭園めぐりの旅】

  【カシャリ!庭園めぐりの旅】 島根県安来市 足立美術館 横山大観他の日本画と枯山水庭園

 

 

 若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。

 旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。

 日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。

 下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。

■ 鳥取県米子市 足立美術館 横山大観他の日本画と枯山水庭園 

 足立美術館(あだちびじゅつかん)は、島根県安来市に所在する、近代日本画を中心とした島根県の登録博物館です。

 地元出身の実業家・足立全康(あだちぜんこう)が、1970年(昭和45年)、71歳のときに開館しました。

 美術館としての特徴は、横山大観等日本画のコレクションと美しい日本庭園です。

創立者・足立全康
 

 足立全康(あだちぜんこう 1899年 - 1990年)は、明治32年2月8日、能義郡飯梨村字古川(現、安来市古川町)の農業に生まれました。
 戦後、大阪で繊維問屋、不動産関係などの事業のかたわら、幼少の頃より興味を持っていた日本画を蒐集し、いつしか美術品のコレクターとして知られるようになったのです。裸一貫から事業を起こし、一代で大コレクションをつくりあげるほどの才能の持ち主といえます。
 逸話も多くあります。なかでも大観の名作『紅葉』と『雨霽る』(あめはる)を含む北澤國男(東洋バルヴ創業者)の「北沢コレクション」を、1979年(昭和54年)に入手した際の武勇談は有名です。
 昭和53年に名古屋の横山大観展で見た「紅葉」(六曲一双屏風)に言葉も出ないほどの感動を受けました。何が何でも手に入れるのだと八方手を尽くしたそうです。門外不出の「幻のコレクション」といわれた北沢コレクションの一部とわかりました。
 「一目惚れの女性に2年も通い続けて枕金も決め、さあ床入りという時に、枕をかかえて逃げられるようなもんだ。そりゃあんまりじゃないですか」と頼み込み、泣き落として決めたそうです。

 

 

          

                  苔庭に立つ足立全康像

美術館としての足立美術館

 日本人なら誰でも知っている画家の作品に接することで、日本画の魅力を理解して欲しいというのが、足立美術館のコンセプトです。また、大観を知ることによって日本画の美、すなわち「美の感動」に接する契機となることが、創立者足立全康の願いでもあるのです。

 横山大観の作品総数130点が所蔵され、質量ともに日本一として知られています。代表作「紅葉」は、大観の代表作のひとつで、昭和6年(1931)の作です。
 真紅の紅葉に、群青の流水と白金泥の漣を加え、秋の清冽な自然を描き出しています。

 大観のほかにも、竹内栖鳳、橋本関雪、川合玉堂、上村松園ら、近代日本画壇の巨匠たちの作品も揃っています。それに加え、北大路魯山人、河井寛次郎の陶芸、林義雄、鈴木寿雄らの童画、平櫛田中の木彫なども収蔵され、魯山人館には、北大路魯山人の作品が陳列されています。

日本庭園美の足立美術館

 足立美術館のもう一つの特色である、広大な日本庭園は、中根金作の設計で、苔庭は、小島佐一も参画しています。足立全康の「庭園もまた一幅の絵画である」という信念の結晶です。

 庭園は「枯山水庭」「白砂青松庭」「苔庭」「池庭」など6つに分かれ、面積5万坪にまでも及んでいます。全康自らが、全国を歩いて庭石や松の木などを捜してきたのです。全康の言葉通り、絵画のように美しい庭園です。

 日本庭園における造園技法のひとつである借景の手法が採られています。彼方の山や木々までも織り込まれています。その借景を維持するために、借景となる山林の一部を購入するほどまでにもこだわっています。

 90歳を超えても、全康は、朝に夕に庭を見て廻ったそうです。少しでも気に入らないことがあると庭師を呼んでは陣頭指揮をとって手を加えさせました。

 米国の日本庭園専門雑誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』が行っている日本庭園ランキング(Shiosai Ranking)では、初回の2003年から何度も日本一に選出されています。

 フランスの旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』や『Guide Bleu Japon』におきましても、それぞれ三つ星(最高評価)を獲得しているのです。

 外国人にも人気が高く、年間の来館者数は、60万人を超えることも多いそうです。

■ アクセス

JR: 安来駅より無料シャトルバスで約20分
車: 山陰道安来ICより約10分

開館時間 年中無休
 夏季    4月-9月    9:00-17:30
 冬季    10月-3月    9:00-17:00

 

          

 

 美術品は撮影できませんので、庭園を中心にご紹介します。

 

歓迎の庭
 足立美術館の建物前から白砂青松と紅葉の赤がクッキリと見える庭園が歓迎してくれています。
 受付を通って直進すると通路に出ます。その右手が白砂青松の「歓迎の庭」の裏側になります。足立美術館庭園の素晴らしさの前奏曲といえます。

          

苔庭
 歓迎の庭通路を左折すると苔庭を通して足立翁像が見えます。
 スギゴケを主体とした強風の雅やかさを醸し出す庭園で、苔の緑と白砂のコントラスト、苔庭の先と枯山水庭を結ぶ石橋が心を慰めてくれます。
 苔庭を見ながら左折すると魯山人館です。その手前に魯山人館の竹林と蹲踞があります。

          


枯山水庭
 足立美術館庭園のハイライトともいえる枯山水庭が見えるロビーにでます。
 借景の山も足立美術館が購入するほど、自然との調和が美しい庭です。中央に立つ石は、険しい山をイメージしたものでしょう。そこから流れ落ちる滝水が大河となって、大海を表す池に流れ込む雄大な山水を感じ取れます。
 右手奥を見ますと、高さ15mの瀑布が見えます。那智の滝を模して作られたという「鶴亀の滝」です。

 

 

 

          

 

          

              鶴亀の滝は、写真中央よりやや右上

白砂青松庭
 庭園を満喫できる喫茶室前を通ると「白砂青松庭」が見えます。足立美術館の表庭の最も奥に位置します。
 横山大観の名作「白砂青松」をイメージして造られた庭園だそうです。白砂の丘陵には、右手がクロマツ、左手が赤松が配されていて、その対照的な調和を楽しみながら鑑賞できます。

          

 

坪庭
 本館から喫茶室「大観」に行く途中に坪庭があります。蹲踞が存在感を高めています。

          

 

池庭
 喫茶室「大観」からお茶をしたり、軽食をとったりしながら楽しめる池泉庭園です。
 周囲との調和のとれた、新しい感性と伝統的な手法のハイブリッド型の池泉庭園といえます。奥には小滝が二段になって流れ落ち、中央に架かる石橋を通して大毛に流れ込んでいます
 池には優雅に泳ぐ鯉が、「これこそ、俺たちの池だ!」と言っているようです。

          

 

生の額絵
 枯山水庭へ行く通路に、生の額絵と言われる、枯山水庭が見える額縁窓があります。窓のすぐ外に大きなクロマツが、格好良く庭にアクセントを付けて立っています。大小の木や石がバランス良く配置されていて、芝生の稜線が美しく見えます。「琳派の絵のようだ」と形容されるそうです。

          

 

生の掛け軸
 池庭を見るふもとに休憩所があり、窓越しに池庭を見ると一幅の絵となります。その反対側にも額縁窓があります。床の間の壁を縦長にくりぬいて、あたかも山水画の掛け軸のような演出もなされています。
 見落としがちなところにありますが、美術館側のお薦めスポットですので、見逃さないようにしたいです。
 

          

 




ユーチューブで視る 【カシャリ!庭園めぐりの旅】

写真集は、下記URLよりご覧いただくことができます。

静止画: http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmeisho.htm
映像:  http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmovie.htm 

【 注 】 映像集と庭園めぐりは、重複した映像が含まれています


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【経営コンサルタントのお勧め図書】 ドイツ在住37年の日本人が語る(2)

2022-11-22 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】 ドイツ在住37年の日本人が語る(2)




経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


 


 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。


 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。


 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。


 


本


■    今日のおすすめ


 


  『ドイツで今、何が起こっているか』
                                  (川口ロマーン恵美著 ビジネス社)

本


■  ドイツ在住37年の日本人が語るドイツ-その2-(はじめに)


 


 著者の『「メルケル仮面の裏側」―ドイツは日本の反面教師である―』2021.12.28を本ブログにご紹介してから間もなく1年になります。「メルケル仮面の裏側」は、明治維新以来、法制・文化などの様々な分野で日本の模範となってきたドイツを、2021年12月の政権交代まで、16年間率いてきたメルケルの、日本などにおける高評価とは異なる、多くの政策の誤りを指摘しています。


 メルケル政権が交代し、社民党(SPD)、環境政党の緑の党、リベラルの自由民主党(FDP)の連立政権がスタートしました。その2か月後に、ウクライナ戦争が起こり、今も戦闘が続いています。


 紹介本「ドイツで今、何が起こっているか」は、ウクライナ戦争勃発でメルケル政策の矛盾が顕在化した「今」を検証しています。


 次項で、紹介本「ドイツで今」からのヒントを基に、エネルギー問題を中心にして、ファクトを見てみましょう。


本


■  ドイツの今


 


【ウクライナ戦争後のドイツのエネルギー問題】


 


 2022年9月26日ドイツのノルドストリーム(1)(2)〈以下NS1,NS2〉のパイプラインが何者かの破壊工作により4か所のガス漏れを起こしました。


 著者はこの問題を次のように指摘していました。「ロシアへのガス依存は30%を超えるべきではないということは、20年も前から言われていた。しかし、メルケル政権は16年間、その不文律を完璧に無視し、粛々と55%まで依存を増やしてしまった。ここまでくると、今さら慌てても、そう簡単に修正もできない。国の要であるエネルギーを、ここまで一国に依存するのは明らかな失政で、安全保障上の思考が一切働いていなかったと非難されても仕方がない。」と。


 まさに、著者の指摘してきたリスクが現実のものとなったのです。このリスクは並外れたリスクです。エネルギー価格の高騰、高インフレ、化石燃料の調達難は、ドイツに限らず、EUへ、日本へ、そして、ロシアと友好関係にあるインドや中国などを除く、世界へと拡大しています。


 ドイツにとっては、直近では、この冬を乗り越えることが出来るかのリスクがあり、長期的にはエネルギー価格の高騰が及ぼす様々な影響が懸念されます。


 ドイツは、今、厳しい局面に立たされています。


 それは、パイプラインによるガス供給を、新たにLNG調達に切り替えるには、新たな設備として、LNG運搬船、陸上LNG受入基地、FSRU(洋上で約-160℃のLNGを受け入れて貯蔵し、LNGを温めて再ガス化してパイプラインへ高圧ガスとして送出することができる浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)が必要であり、これらが整うには3,4年かかると言われています。


 また、ガスは、プラスチックや合成繊維、塗料、医薬などの化学製品の原料であり、石油・石炭・褐炭などでは代替できないリスクもあります。


 メルケルは、これらを認識し、加えてロシアへ依存のリスクを認識し、16年間の治世の間に、然るべき対応をすべきでした。何ら対応しなかったメルケルの失政を指摘せざるを得ません。


 


【ドイツが歩んだ「脱原発」は正しかったのか?】


 


 NS1が開通した2011年11月時点の原発の稼働台数は17基ありましたが、現在稼働しているのは3基です。2011年に19.5%あった原発による発電比率が2022年現在は6.6%です(Wedge 2022.9.16より)。


 2002年に当時の社会民主党(SPD)と緑の党の連立政権は、稼働している19基の原発を2021年までに全て廃止することを決定しました。その後、メルケルは2010年5月に2002年の脱原発の決定を無効にし、原発の利用継続を決めました。しかし、翌年の2011年の福島事故を契機に国民の原発嫌いを意識し、反原発へと切替える格好のチャンスと捉え、2022年末までにすべての原発を段階的に閉鎖することを決めたのです。多数派迎合型で旧東ドイツの自然保護主義がバックグラウンドにあるメルケルならではの決定でした。


 メルケルはCDU本来の原発維持政策を堅持せず、2011年5月の脱原発宣言をした結果、約13%(19.5%-6.6%)の原発(約800億kwh)の発電量が減少しました。メルケルは、2011年11月にスタートするNS1によるロシアからのガス調達が見えたので、2011年の脱原発を決定したのでしょう。福島原発事故は2011年3月、NS1の開通が2011年11月、脱原発のリスク対応が全く検討されないままの脱原発法案の成立が2011年7月でした。このタイミングの良さを見ると、著者が言う、メルケルの“・・賢さ”が透けて見えます。(数字はWedge 2022.8.5「ドイツの脱原発が世界に迷惑をかけるこれだけの理由」より筆者試算。)


 ロシアからのNS1によるガス調達が既定路線であればこそ、メルケルは長期政権の中で、原発によるベース電源を確保しながら、「脱原発」を「脱炭素」の後回しにし、安定的にグリーン化を進め、並行してロシアリスクに対応したLNGの段階的調達やガスの貯蔵体制強化など進め、リスク対応策を実施すべきでした。


 


【ドイツのエネルギー政策の失敗】


 


 「脱炭素は噓だらけ」の著者で地球温暖化問題およびエネルギー政策を専門家の杉山大志氏は次のように述べます。『日本でも信奉者の多かったドイツの「エネルギーベンデ(エネルギー転換)政策」は、恐るべき“災厄”をもたらした。ドイツは「脱原子力」と「脱炭素」を同時に進め、再生可能エネルギーへ移行するとした。だが実際にはそれではエネルギーが足らず、ガス輸入をロシアのパイプラインに大きく依存することになった。この弱みを握ったプーチン大統領は、欧州は強い態度を取れないと読んでウクライナへ侵攻した』と。(2022.9.24キャノングローバル研究所より)


 杉山大志氏のこのコメントが、メルケルのエネルギー政策の失敗を的確に指摘しているのではないでしょうか。


本
■    ドイツの失政を他山の石に(むすび)




 ドイツとロシアの関係は、日中、日露の関係に置き換えてみることが出来ます。経済安全保障政策、原発・脱炭素を中心とするエネルギー政策においてドイツの失政を他山の石として、緊張感をもってアジャイルに政策を実行していく必要があります。


 


 


本


【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


  http://sakai-gm.jp/


 


【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


 


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【話材】 昨日11/21のつぶやき  鎖国政策と殖産

2022-11-22 07:39:19 | ブログ

 

  【話材】 昨日11/21のつぶやき  鎖国政策と殖産

 

経営コンサルタントとして感じたことを毎日複数のつぶやきをブログでお届けしています。

もし、お見落としがありましたり、昨日のブログで再度読みたいつぶやきがあるというときに便利なページです。

本日も、複数のブログで、つぶやき済です。

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/229a2d687e2f419fadfe183a4e58f996

晴れ

■ 昨日は、下記のリストのようなことをつぶやきました。

konsarutanto   ◇ 昨日のつぶやき ◇ 

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 【カシャリ! ひとり旅】を映像にして紹介しています。

   ユーチューブで見

 

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