■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 「異次元の少子化対策」への貢献を期待 3315-4917
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■ 「異次元の少子化対策」への貢献を期待 3315-4917
「少子化」という言葉が登場したのは1992(平成4)年のことである。その2年前の1990年、出生数が極端に少なくなる丙午(ひのえうま)の年だった1966年の合計特殊出生率(1.58)を下回り、戦後最低の1.57にまで低下したと発表された「1.57ショック」を受けたもので、「少子社会の到来、その影響と対応」という副題が付いた同白書では、少子化の背景や課題について詳しく解説・分析していた。しかし、その後も少子化は進み、子どもの数は年々減少しているのが現状だ。
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「静かなる有事」ともいわれる深刻な少子化の要因のひとつとして挙げられるのが保育園・保育士不足である。子どもの数が減っても、夫婦共働きが多くなった今、保育園のニーズはむしろ高まっている。しかし、精神的・肉体的負担が大きい割に待遇が悪い、などの理由で保育士が不足し、結果的に保育園も足りなくなっている。そして、子どもを預ける場所がなければ、子どもを持つことをためらうこととなるのだ。
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こうした課題をテクノロジーの力で解決しようというのが、IoTやAIを活用した保育支援サービス「LMシステム」の開発・提供を手掛けるY社(東京都千代田区)である。代表取締役CEOのT氏は、大手総合商社、外資系の大手コンサルティング会社という華麗なキャリアを捨て、妻子のために専業主夫ならぬ“半分主夫”の日々を送った末に、2013年に起業。最新テクノロジーを活用した「LMシステム」によって保育士らの負担を軽減し、その分、子どもたちに向き合う心と時間にゆとりを増やして、保育の質の向上を目指していこうという「スマート保育園・幼稚園・こども園」構想を推進している。
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「LMシステム」には、保育施設と保護者の連絡をスムーズにするツールサービス「LMシステム連絡帳」、園児の登降園時間を記録・管理するサービス「LMシステム登降園」など数々のサービスがあり、保育士らの業務負担の軽減や施設の運営支援に役立っている。すでに全国で約60の地方自治体が「LMシステム」の導入を完了・決定している。また2022年12月には、中小機構主催の「第22回Japan Venture Awards」(JVA)で中小企業庁長官賞を受賞。国からの“お墨付き”を得た格好ともいえ、「自治体からの当社に対する評価にも好影響をもたらし、大変ありがたい」(T氏)という。
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少子化を初めて取り上げた国民生活白書から30年以上経過した今、政府が掲げる「異次元の少子化対策」に向け、関係府省会議で議論が進められている。そのなかでは、児童手当などの経済的支援、働き方改革の推進と並んで、保育サービスの充実が議題に挙げられている。ユニファの取り組みがいっそう注目を集め、少子化に歯止めをかけることに貢献できるよう期待したい。
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少子化、保育士不足などという時代が抱える問題をいかに解決するかということに注目しての取り組みで、ビジネスモデルを構築した好例と言えます。
国や都道府県だけでは解決が困難な、構造的な課題であり、その構造的な課題を根本から解決することが喫緊の政策テーマです。
民間企業として、取り組める問題ではない、と考えて、思考を停止してしまうのが一般的なわれわれの思考法です。
そのような課題でも、取り組み方・発想法次第で、国や自治体のやりたいことを自前の技術で何とか解決しようという、執拗なまでもの重考高盛がうかがえます。
ビジネスには、粘り強い重考高盛が重要であることも再認識したいですね。
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出典: e-中小企業ネットマガジン