■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 すべての立ち仕事の苦痛を解決する 92209808
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■ すべての立ち仕事の苦痛を解決する 92209808
工場の組み立てラインや、工事現場などの警備・誘導、スーパー・コンビニのレジ打ち、理容師や美容師など、立ったまま働く職場は多い。ただ8時間、時には12時間という長時間の立ち姿勢を強いられることが珍しくない職場がある。腹腔鏡手術に携わる医師や看護師らが働く医療現場である。
腹腔鏡手術は、ヘソの周囲から直径2~10ミリの内視鏡を腹腔内に挿入し、テレビモニターに映し出された映像を見ながら手術する。一般的な開腹手術は10センチ以上皮膚を切開するが、腹腔鏡手術は1センチ前後の切開が3~4カ所で済む。このため手術後の痛みが少なく回復が早いため、早期に退院・社会復帰できる。傷が小さく美容的にも優れるため、実施率は近年急増している。
もちろん欠点もある。手術の難易度が高く、一般的に手術時間が長くなる点だ。手術室は立ち姿勢を前提に設計されており、床には医療機器のコードなどが横たわる。医師は立ち位置を変えながら、複数人で連携して手術するため、椅子を置くことができず、長時間の立ち姿勢による腰や足への負担は大きい。一方で、鉗子(かんし)の先端数ミリでの動作が求められ、医師の「体幹の安定」が手術の品質に大きく影響を及ぼすという。
これを解決するのが、ニットー(横浜市金沢区)が千葉大学の川平洋准教授(現自治医科大学教授)、中村亮一准教授らと共同開発した「archelis(アルケリス)」だ。「身につけて歩ける椅子」をコンセプトに、中腰姿勢のまま座れ、腰や足への負担を大幅に軽減する。スネとモモの広い範囲で体重を分散して支えるため、体幹が安定し安全で高品質な手術を実現する。装着したまま自由に歩けるため、好きな場所で「歩く」「座る」を繰り返せる。電源を使わないため、他の医療機器への電波干渉や充電の心配もない。
「これまでに多くの人に試してもらったが、フィット感や好みが違う点に悩まされた」と藤澤秀行代表取締役は開発の苦労を振り返る。月額3万~5万円台でレンタル販売を始めたのは2018年11月。ただ2015年には試作機が完成、この3年間はテレビ番組や学会、展示会などで披露し、多様な意見を取り入れて製品をブラッシュアップさせた。
ニットーはプレス金型製作や板金・機械加工を手がける町工場だ。創業以来45年間はほぼ100%下請けだったが、自社製品として2012年にヌンチャクのように振り回せるiPhone(アイフォーン)用ケース「iPhoneトリックカバー」を商品化した。「自分たちが使いたくなるものを開発した」と藤澤さん。同じ自社製品の「アルケリス」は医師からの要請に応えたものだが、今では製造業や小売業など多方面から「熱い視線」を浴びている。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成