けい先生のつぼにくる話

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東洋医学の根幹は陰陽観(東洋哲学的なものの見方)

2011-09-15 11:04:57 | 易経、東洋哲学
私が教鞭を取っているサンフランシスコの東洋医科大学院でのことですが、時々新米の教員や職員さんに「先生は何科がご専門ですか?」と聞かれることがあります。

米国の東洋医学界と、現在は政治的に敵国となってしまった共産中国の東洋医学界は、西洋医学のそれと同じで漢方医学や鍼灸医学においても「何科が専門」という風に分けようとする傾向が強いです。西洋医学化しているのです。

もちろん「うちは腰痛の患者さんが多いなあ」「いや、私は婦人科系の患者さんが多いですよ」などということが結果的に起きる場合がありますが、日本の東洋医学に対する概念は、まだ政治的敵国でなかった古の謙虚な中国(シナ China)のそれと同じで、全体概念(中国では整体概念と書きます。中国語の「整」は全体、全てという意味で、「整体師」の整体の意味とは違います。)

いや、むしろ我らの日本国が、中国から伝わった東洋医学の原型を素直に受け止めて伝承しているともいえましょう。

全ての病、そして怪我などが治りにくいのは、人体に「虚」が生じたから起る。と考えるのが東洋医学の本来の姿です。そして、東洋的な治療とは問診、舌診、腹診、脈診と患者さんの雰囲気を含めた全体を「観る」事から始めます。

そして、人体で最も虚している部分(五臓やそれに連なる経絡)を見つけてこれを補います。人体の「虚」が補われると、病自体が存在する理由がなくなるので、病気が治る方向に向いてゆくわけです。このために補う治療を「本治方(ほんちほう)」と呼んでいます。(専門的に言うと五臓の虚実を正す。)これは漢方医学でも、鍼灸医学でも同じです。

「本治方」だけで病気が治ってしまうのが一番よいのですが、なかなかそう簡単に行かないことも多いので、同時進行で、たとえば頭痛なら頭痛の関連の経絡とそのツボや漢方薬を使った病名治療も行うことが多いです。

この病名治療を「標治方(ひょうちほう)」と呼び、この両方にアプローチすることを「標本同治(ひょうほんどうち)」といいます。

アメリカ的に「何でも診れます!」といってしまうと、なんか傲慢不遜に聞こえて誤解されてしまいます。。。。。ということで「どの場合にも、それなりに最大限の対応ができるのが東洋医学のいいところじゃあないですか。。」とわざとピントをずらして答えています。

いろいろお話をしましたが、前回の血圧のお話につなげてゆこうと思って書いております。でも、次回ももう少し、東洋的なものの味方についてお話をさせてください。

漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。

私の記事が載っている月刊誌「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。

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