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東洋的に人体を観る

2011-10-01 21:45:16 | 易経、東洋哲学
東洋医学は東洋哲学の背景があってはじめて成立する、古典書物も東洋哲学に触れてきてはじめてその意味内容を吟味することができるとされています。

東洋哲学の原典ともいえる古典書物「易経」のなかで、大変重要な概念として、
易、不易、簡易というのがあります。

1.易(えき)絶えずよく変わる、物事はいつも動いているという概念。
たとえば起承転結の繰り返しであったり、岩のように未来永劫変わらないように見えるものでも、風化して砂になってゆくなどの概念。

2.不易(ふえき)変わらない真理、枠組み、変わらない転地自然のルールの概念。物事が変化をしてゆくにはある一定のルールがあって、そのルールははずせない、変わることがないという概念。たとえば地球の引力など。

3.簡易(かんえき、中国の書籍によっては易簡と書かれています。)シンプル、およそすべてのものは簡約して観ることができる。根本は単純明快であるという概念。たとえば近づいて眼を凝らして見るよりも、2-3歩下がって全体をジワーッと観た方が本質がみえてくるという事。

頭痛、肩こり、動悸、息切れ、高血圧、耳鳴りなどがある場合、「お、これらの病は人体の上のほうで起きているな。。。なんか虚実で言えば実っぽい感じだな。」などと気がつくことが大切です。

それでは「上で何かが起きているなら、下のほうにある、足や腰などはどうなっているだろう?上が実なら下は虚してるんじゃないか」とまで考えられたら大変いい線をいっています。

さらに、「上と下でこんな感じなら、上、中、下の中はどうだろう。胴体には肝、心、脾、肺、腎の五臓があるぞ。そのどれかにも負担がかかってないかな。東洋医学でいう各臓器にはそれに連なる経絡というものがあるというが、それぞれどんな感じだろう。。。」

ここまでひらめいた方はどうぞ、鍼灸師や漢方医を目指してください。

そこで、たとえば「高血圧」という症状の患者さんがいらっしゃった場合、
1.人体の上のほう、胸より上の圧力が高いようだ。
2.ではたとえば相対的に、足腰は冷えたり、衰えたりしてないだろうか。
3.五臓の弱りや、それぞれの臓器と関係のある感情はどうだろう、怒、喜、思、憂、怖の感情を使いすぎてないだろうか。

問診、脈診、腹診、舌診などで、これらのアンバランスを観て、

例えば、
足がいつ冷えていて、いつも気を使う仕事(思)をしていて、宴会が多くて暴飲暴食気味(東洋的には消化器のコントロール器官である五臓の脾に無理がある。)、鬼嫁とリストラの(恐)怖でこの感情に相応する五臓の腎が虚している。などを総合して

「この方は八味地黄丸だ!」という診断となるのです。

この八味地黄丸は日本の医師の考えでは糖尿病の薬、白内障の薬、頻尿のくすり、というように病名で無理に仕分けをしようとしています。

しかし、本来の東洋的な概念での診断を行うと、下半身が虚していて、東洋的な意味合いでの腎や、脾に負担がかかっているために、相対的にといいますか、結果的に上半身に出ている各種の病の存在理由自体ががなくってしまうので、例えば結果的に高血圧が治ってしまう。気がついたらめまいがしなくなっていた。という結果が出るのです。
もちろん、下のところのアプローチから入るので、足が暖まってきたり、腰の重だるさが消えたりという結果も当然おきてくるでしょう。

鍼灸治療でしたら、その本質を調整する本治法(ほんちほう)を行って、病の存在理由がなくなるように仕向けます。でも、例えば頭痛でいらっしゃっている患者さんの頭にぜんぜん触れないのも、なんだか物足りないので、頭にある頭痛に関連する経絡やそのツボに治療を行います。これが標治法(ひょうちほう)です。鍼灸治療のほうが、一見漢方薬治療よりも単純に見えますが、実は漢方治療と同等かそれ以上に効果が期待できる医療でもあります。

もちろん漢方薬のほうにも、標治法(ひょうちほう)に相当するものもあります。全部を一気にお話しするのは無理がありますので、いつかまた日を改めてお話をさせてください。

次回は、「高血圧」に効く漢方薬を列挙して、お話を進めてゆきたいと思います。

漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。

私の記事が載っている月刊誌「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。

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