ごっとさんのブログ

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人間に寿命に上限があるか

2017-09-02 09:32:42 | 自然
栄養や生活、医療などの向上で人の平均寿命は延び続けていますが、最高寿命の「上限」を発見したとオランダの研究チームが発表しました。

この研究チームは、死亡時の正確な年齢の記録が残っているオランダ人約7万5000人のデータを解析し、女性の寿命の上限が115.7歳であると断定しました。また過去30年間に及ぶデータから抽出したサンプルを調べた結果、男性の寿命の上限は女性よりやや短く114.1歳としています。

今回は統計学の一分野で「統計的極地理論」を用いて導き出した結論で、平均寿命は延びているものの最高上限そのものは変化していないというものです。しかし例外もあり世界で最も長寿だったのは、フランス人女性で122歳と164日という記録が残っています。

それでも100歳以上の人は日本だけでも6万人を超えているのに、110歳以上の人は全世界で100人もいないようです。つまり100歳と110歳の間には想像以上の大きな壁があることが分かります。

この研究とは別ですが、最近長寿遺伝子という言葉がよく使われ、「サーチュイン」という遺伝子が活性化すると生物の寿命が延びるといわれています。NAD+という因子があり、サーチュインを活性化するといわれています。

このNAD+はたくさん食べると減り、逆に食べる量を減らすと増えてくるという性質を持っています。つまり摂取カロリーを減らすと長寿遺伝子は活性化するということになります。この事実はハエやマウスを使った実験では寿命の伸びが観察されますが、より人間に近いサルの研究では効果が確認されていませんので、あまりあてにならないのかもしれません。

一方でブルーム症候群などの「早期老化症」と呼ばれる遺伝病があり、文字通り早く老化する病気で、思春期を過ぎると一気に老化の速度が上がり、50歳ぐらいですっかり老人になって死んでしまうようです。

この病気の人はDNAの損傷を修復する遺伝子に異常があるようです。普通に生活していると、1日50万か所くらいDNAが傷つき、ほとんどが修復されています。このDNAのなかでも特に構造が不安定で、切れたり絡まったりしやすいものがリボゾーマル遺伝子で、サーチュイン遺伝子はこの不安定な遺伝子を守ることで寿命を保っているというメカニズムも提唱されているようです。

その他細胞の老化と個体の老化など、老化や寿命に関する研究は盛んに行われています。しかし今回のような寿命の上限を出すというのは面白いのかもしれません。この統計学的手法はよく分かりませんが、人間の寿命にも上限があってもおかしくないのかもしれません。