細胞のエネルギーの基となるATP(アデノシン三リン酸)の量を調整することで、パーキンソン病の進行を抑える化合物を京都大学などの研究グループが開発しました。
パーキンソン病は千人に1人が発症し、神経伝達物質であるドーパミンを作る神経細胞が変性し、手足の震えから進行して運動機能が失われる病気です。
このドーパミンの減少によることが分かってから、ドーパミン自身の投与が検討されましたが、小さな分子なのに脳血管関門という脳に入るためのバリアーを通過しないことが分かりました。
そこで脳内に入ってから容易にドーパミンに変換されるアミノ酸の一種であるL-DOPAが見つかり、1960年代に症状を改善する治療薬として開発されました。これは天然のアミノ酸ですが、長期服用していると副作用も出るようで、その後色々な薬が開発されています。
しかし大部分がドーパミンの代わりにその受容体を刺激するようなメカニズムが多く、これもいわゆる対症療法であり、パーキンソン病の原因を根本的に治療する方法は見つかっていません。
この研究グループは、パーキンソン病で生ずるATPの減少に着目しました。このATPの産生を促進する作用を持つ化合物を約10万種類の化合物から探索し、「エスクレチン」という化合物を見出しました。
このエスクレチンというのは私にとってややなじみのある化合物で、クマリンと言われる化合物の類縁体です。もともとは植物の生産する青色の蛍光化合物で、色々な生理活性、特に抗凝固作用が知られています。私がクマリン系の化合物を扱っていた時、エスクレチンも原料の一つとして使用していました。確か化粧品会社から入手しましたので、日焼け止めなどにも使われているようです。
研究グループはこのエスクレチンをパーキンソン病のモデルマウスに投与したところ、ATPの低下が抑えられ細胞死が少なくなり、運動能力の低下も抑制されたとしています。
研究グループは、ATP量の低下が背景にある病気は多く、他の神経疾患に応用できる可能性は高いとしています。ATPは人間にとってエネルギーの源であり、あらゆるところに存在する物質ですが、今までこの分解を抑えたり産生を促す物質というのは聞いたことがありませんでした。
今回の方法もパーキンソン病の根本治療になるものではありませんが、ATPという普遍的な化合物を増やしてやると、症状が緩和されるというのは面白い発想と言えるのかもしれません。
パーキンソン病は千人に1人が発症し、神経伝達物質であるドーパミンを作る神経細胞が変性し、手足の震えから進行して運動機能が失われる病気です。
このドーパミンの減少によることが分かってから、ドーパミン自身の投与が検討されましたが、小さな分子なのに脳血管関門という脳に入るためのバリアーを通過しないことが分かりました。
そこで脳内に入ってから容易にドーパミンに変換されるアミノ酸の一種であるL-DOPAが見つかり、1960年代に症状を改善する治療薬として開発されました。これは天然のアミノ酸ですが、長期服用していると副作用も出るようで、その後色々な薬が開発されています。
しかし大部分がドーパミンの代わりにその受容体を刺激するようなメカニズムが多く、これもいわゆる対症療法であり、パーキンソン病の原因を根本的に治療する方法は見つかっていません。
この研究グループは、パーキンソン病で生ずるATPの減少に着目しました。このATPの産生を促進する作用を持つ化合物を約10万種類の化合物から探索し、「エスクレチン」という化合物を見出しました。
このエスクレチンというのは私にとってややなじみのある化合物で、クマリンと言われる化合物の類縁体です。もともとは植物の生産する青色の蛍光化合物で、色々な生理活性、特に抗凝固作用が知られています。私がクマリン系の化合物を扱っていた時、エスクレチンも原料の一つとして使用していました。確か化粧品会社から入手しましたので、日焼け止めなどにも使われているようです。
研究グループはこのエスクレチンをパーキンソン病のモデルマウスに投与したところ、ATPの低下が抑えられ細胞死が少なくなり、運動能力の低下も抑制されたとしています。
研究グループは、ATP量の低下が背景にある病気は多く、他の神経疾患に応用できる可能性は高いとしています。ATPは人間にとってエネルギーの源であり、あらゆるところに存在する物質ですが、今までこの分解を抑えたり産生を促す物質というのは聞いたことがありませんでした。
今回の方法もパーキンソン病の根本治療になるものではありませんが、ATPという普遍的な化合物を増やしてやると、症状が緩和されるというのは面白い発想と言えるのかもしれません。