ごっとさんのブログ

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O157に関わる話

2017-09-15 10:45:09 | 健康・医療
最近ポテトサラダを食べた人がO157の感染症になったということで、いろいろ話題になっています。

この感染源が特定できないまま同じ遺伝子型の感染症がどんどん広がっているようです。もともと埼玉、群馬あたりで発生したものが、11都県で関西にまで広がったというのは考えにくいことです。

このO157というのは腸管出血性大腸菌と呼ばれ、少量の菌でもベロ毒素と呼ばれる毒素を出すために、腹痛や下痢などを発症しやすいとされています。

私は昔から食中毒というのは原因菌が何であっても、見つかるのは氷山の一角ではないかと思っています。何か感染源がありそれを食べた多くの人が発症した場合始めて食中毒となるわけで、一人か二人が発症してもよほどひどい症状にならない限り病院に行くことは無いと思われます。

特にこういった病気の発症は個人差が大きく、同じものを食べても発症しない人が出るのは当然です。やや腹痛があって下痢をしても、正露丸(今でもあるのでしょうか)でも飲んで終わりが大部分のような気がします。

人間はある意味微生物特に細菌と共生しているようなものですので、体中が細菌の住処となっています。どんなに清潔にしている人でも汗をかけば汗臭くなりますが、これは皮膚に住んでいる細菌が汗の中の脂肪酸を分解して臭いが出るわけです。

また微生物を専門にしている友人によれば、人間の唾液1ml中には平均して200種以上の1億程度の細菌がいるということです。これを聞いたとき余りの多さに驚いた記憶があります。まして細菌の多い腸内にはどの程度住み着いているのか見当もつきません。

また細菌については恐ろしいような話もあります。現在の微生物学は、寒天などのプレート上で培養できる細菌しか分からないようです。例えば土の中にいる微生物をPCRという遺伝子増幅法を使い、何種類ぐらいいるのか測定してみると、その中でプレートで培養できる菌は1%以下であるというデータもあるようです。つまり人間は大部分がいることすらわからない、多数の菌に囲まれて生きているということになります。

病原菌といっても感染すれば必ず発病するわけではありません。人が非常に体力が落ちたときや、免疫力が低下した特殊な場合にのみ病原菌は増殖し発病するのが普通と考えられます。

こういう状況ですので、今回のO157の問題も大きく報道されていますが、急に菌数が増えたりすることは無いはずですので、それほど気にすることでは無く、若干手洗いを丁寧にする(効果はわかりませんが)程度で十分のような気がします。