ごっとさんのブログ

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ベニクラゲの若返り能力

2018-12-27 10:16:20 | 自然
クラゲは癒しの生物として各地の水族館で人気が高いようです。

私もかなり好きで水族館などに行くと、ボーと見ているだけなのですが、確かに癒されるような気分になります。

今回紹介するベニクラゲ類は、異色の存在で地球上の150万種の動物中で「若返り」能力が確認されているほぼ唯一の生き物と言われています。この若返りは「花に舞うチョウが青虫に戻るのに等しい現象」とされています。

ベニクラゲの場合は、刺激を受けた成体が岩などに固着して生きるポリプと呼ばれる幼生に戻り、逆方向に歳を取ることで、発生初期段階に若返ります。この戻ったポリプの枝にふくらみが生じそれがクラゲへと成長します。

ベニクラゲでは人生のやり直しが可能というわけです。この若返り現象は当初、欧州を舞台に研究されていました。1996年にイタリアのサレント大学で研究が進み、研究論文が発表されています。

日本では京都大学の研究チームが2000年に、ベニクラゲを未ろ過の海水で飼育したところ、ひとりでに若返り現象が起きていました。汚れを含む海水による刺激が引き金になったようです。ベニクラゲ類は極域を除く世界の海に生息し、日本産のベニクラゲも若返り能力を持つことが、鹿児島湾の固体で確認されています。

私も海洋系の研究所に出向していた時、クラゲの飼育を見学していたことがあります。私の研究室のテーマではなかったので、どこの国から輸入したかなど詳細はわかりませんが、サカサクラゲという面白い種類でした。

その名の通り傘の部分を下に、触手のような部分が上で本当に普通のクラゲとは逆の向きになって泳いでいました。

クラゲは生体からポリプと呼ばれる幼生(これも何段階かあったような気がします)が出てきて、これが離れて岩や海藻に付着して育ち成体になるということを繰り返します。ところが水層で飼育していると3代目まではポリプが出るのに、これが最後でそれ以上の世代交代をしなくなるといわれていました。

このあたりがなぜかを調べるところから研究していたようです。私はこの色々な段階の幼生の入った水層などの変化を見るのが好きで、良く見学に行っていました。

さてベニクラゲの若返り実験は、沖縄産の固体を使い、過密飼育というストレスを与えることによって若返りの引き金にするという実験で、2011年までの2年間で同一個体を10回若返すことに成功しています。

またクラゲの体を針で着くという原始的な刺激法で、この記録を14回まで伸ばしたようです。こういったメカニズムを解明して若返りの薬につなげたいとしているようですが、かなり時間がかかりそうな気がします。

こういった海洋生物はまだまだ未知の部分が多く、研究すればいくらでも面白いことが出てきそうな気がします。