ごっとさんのブログ

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肥満の原因は食べ過ぎ以外に

2019-02-10 10:36:05 | 自然
近年肥満になる年齢がどんどん下がっており、22年間にわたって行われた研究によると、肥満はどの年齢層の子供にも増えているようです。

何とゼロヵ月から6ヵ月の赤ちゃんにもその傾向が見られたとのことです。ゼロヵ月で太っているという現象から、遺伝は、食べ過ぎにや運動不足以上に体重に及ぼす影響が大きいという説が出てきました。

子供のころに肥満だった人は、寿命が短い傾向にあるという研究報告があり、子ども時代の肥満は危険なようです。ここで出てくるのが「肥満は氏か育ちか」つまり遺伝的なものか環境かという問題です。

子供のころに太っていた人が大人になって太る確率は、そうでない人の17倍以上とされています。これが遺伝的なものなのか、生活環境によるものなのかは長年謎のままでした。

家族は同じ環境で暮らし、同じものを同じ頻度で食べるなど「食べる量が増え、運動量がが減ったことが原因=環境説」が優位でした。しかし近年では「環境の影響は小さい」という研究結果が出ています。

その一つが「養子を迎え入れた家族」を対象にした調査です。デンマークで養子になった540人をピックアップし、それぞれ生みの親と育ての親の体重の比較を行ったのです。もし肥満が環境だとすれば、養子は養父母に似るはずで、逆に遺伝的要素が強いのであれば、生みの親に似るはずです。

結果として養父母と養子の体重に、相関関係は全く見られませんでした。一方養子を生みの親と比較したところ、双方の体重にははっきりと相関関係が見られました。生みの親は育児に全く関与していないにもかかわらず、肥満の傾向が受け継がれていたのです。

太っている両親の子供を、痩せている家庭で育てたケースでも、子どもはやはり肥満になりました。「別々の環境で育てられた一卵性双生児研究」もこの結果を支持しています。別々の環境で育てられた一卵性の双子は環境の差に関わらず、似たような体形になったのです。

これらを総合して、「肥満を決定づける要因の70%が遺伝によるもの」という結果が導き出されました。肥満は遺伝が7割とはいえ、過食を促したり、脂肪を蓄積させたりする「太らせる遺伝子」が存在するわけではありません。

主な原因はインスリンの分泌にあるようですが、このあたりはそれほど分かっていないようです。胎児は母親の血液から栄養を取り込むため、インスリン過多などのホルモンバランスの乱れが、胎盤を通じて自動的に成長過程の胎児に伝わり、それが体質となって受け継がれると考えられています。

私も太るか痩せるかは体質的なものと感じていましたが、こんなに遺伝的要素が大きいとは思っていませんでした。ただしこれも一つの学説ですので、また新たな研究が出れば環境説に戻るのかもしれません。