ごっとさんのブログ

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老化細胞を破壊すれば長生きできる?

2019-02-11 10:17:51 | 健康・医療
人は歳をとると骨がもろくなったり、臓器が徐々に機能しなくなったりします。加齢に伴うこうした現象を食い止めることができるかもしれないという期待が出るような論文が発表されました。

これはアメリカのメイヨークリニックの研究チームが発表したもので、論文によれば私たちの体内には、加齢に伴う多くの病気を引き起こす「老化細胞」があります。

これらの細胞は死滅することなく、加齢とともに体内に蓄積されます。老化細胞が暴れ出すことで他の細胞を死滅させ、それによって多くの病気を引き起こしている可能性があるとしています。

研究チームはマウスを使った実験から、これらの老化細胞を破壊すれば悪影響を阻止し、あるいは覆せる可能性もあると結論付けています。

研究では、老化細胞を移植して通常よりも早く老化が進むようにした若いマウスと、自然に高齢となったマウス(人間の80~90歳に相当)を準備しました。両方に白血病の治療薬ダサチニブと、果物や野菜に含まれる植物性フラボノイドの一種であるクエルセチンを投与しました。

その結果、両マウスの体内にある老化細胞は死滅し、若いマウスの老化は阻止され、高齢マウスは走るスピードが速くなったり、つかむ力が強くなるなど総合的により活発になりました。

老化細胞が破壊されたマウスの寿命は最大で36%伸びましたが、寿命末期の衰弱期間が伸びたわけではありません。老化細胞が死滅したことで、加齢に伴う病気の進行が遅れたとしています。

研究チームは「研究の主眼は寿命を延ばすことでは無く、健康状態を改善すること、その結果生存期間が伸びるならばうれしい副作用だ」と述べています。アメリカ老化研究所もこの研究について、老化細胞を標的にすることで、マウスの加齢に伴う問題の進行を遅らせて寿命を延ばし、健康を向上させられる説得力ある証拠だと語っています。

研究チームは人間の脂肪細胞に同様の薬剤を投与する実験を行い、期待の持てる結果を得ているようで、すでにアメリカ食品医薬品局(FDA)から臨床試験の承認も受けています。数年以内には、研究チームが開発した薬物群が骨粗しょう症やアルツハイマー病などの治療に役立つかどうかわかるとしています。

この研究チームが使用した白血病治療薬やフラボノイドがどうやって老化細胞を死滅させるのかなど、メカニズムについては触れていませんが、このような手法で健康に過ごせる年月を長くできるのであれば、非常に面白い成果と言えるような気もします。

老化抑制というのは、治療ではなくあくまで予防的な処置ですので、治験にはかなりの難しさが存在しますが、どういった進展を見せるか興味深いところです。