ごっとさんのブログ

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骨を破壊する悪玉破骨細胞を発見

2020-01-02 10:29:37 | 健康・医療
大阪大学は、破骨細胞には正常な破骨細胞と性質・起源が異なる悪玉破骨細胞が存在することを発見したと発表しました。

炎症関節の細胞を採取・解析する技術を開発し、関節炎で病的に骨を破壊する悪玉破骨細胞を同定しました。古い骨を溶かす破骨細胞は、骨の内側に存在し骨を造る骨芽細胞と強調して骨構造を維持しています。

一方で関節リウマチなどの病的な状態では、関節組織に発生して骨を外側から壊すことで関節構造を破壊します。この内容とは若干異なっていますが、私も数カ月前テニスのゲーム中に膝関節をひねってしまい、強い痛みが出てしまいました。

帰りの車ではアクセルとブレーキの踏み替えも痛く、必死で運転するほどでした。次の日整形外科に行きいろいろ検査をした結果、加齢による軟骨のすり減りが原因という診断で、明らかに外的力による痛みのはずで納得できませんでしたが、構造的には問題がないようでしたので、湿布薬をもらって帰ってきました。

幸い強い痛みはすぐに消えましたが、力を加えると痛いという状況が続いたものの2か月ほどでほぼ完全に治りました。やはり関節というのは、なかなか難しい構造をしているようです。

さて今回の研究では、関節炎において病的な骨破壊が起こる部位の組織を単離する独自のプロトコールを開発しました。関節炎を発症した関節組織には、正常な骨には存在しない病的な破骨前駆細胞が存在することを発見しました。

研究グループは、この破骨前駆細胞をAtoMと命名しています。AtoMは、関節に常在する細胞からではなく、骨髄由来の細胞が血流を介して関節に流入した後、単球形細胞が破骨細胞へ分化するために必要なサイトカインに反応して発生します。

この内の約10%の細胞が、関節局所で病的な破骨細胞へと分化することが明らかになりました。また網羅的な遺伝子発現を調べたところ、AtoMがある転写因子によって部分的に制御されていることが示唆されました。

さらにこの転写因子の阻害薬が、マウスおよび関節リウマチ患者の関節液から採取した細胞において、破骨細胞への分化を阻害することも明らかになりました。

このように病的な悪玉破骨細胞が発生する過程が解明され、またこの悪玉破骨細胞への分化を阻害できる可能性も出てきたことになります。

さまざまな関節炎の内どの程度がこの悪玉破骨細胞に起因するかは分かっていませんが、今後関節の表面に形成される病的な破骨細胞への新たな治療法の開発が期待されています。

関節炎は人の活動の大きなマイナス要素になりますので、正常な動きに戻せるような治療法を確立してほしいものです。