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公的年金の財政検証結果

2020-01-29 10:32:33 | 時事
昨年8月に公的年金の財政検証結果が公表されました。

私は基礎年金の時から10年以上年金を受け取っていますし、年金制度がどうなっても構わないようなものですが、やはりしっかり続く物かどうか興味があります。

この報告は数字の羅列ばかりであまり面白くないのですが、年金制度の将来は考えてみたいものです。この財政検証は5年に一回実施されるもので、いわば公的年金の健康診断の様な位置付けになります。

直近の人口動態や経済の前提などに基づいて財政見通しを作製し、2004年の年金改革時の公約である所得代替率(現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率、年金額は夫婦二人で妻が専業主婦の場合で計算)50%を達成できるかなどを確認しています。

所得代替率が目標の50%を確保できているかは、いくつかの将来のシナリオを置いて分析しています。最も望ましい「経済成長と労働参加が進むケース」では、将来の所得代替率が50.8~51.9%となっており50%を無事達成できそうです。

前回(2014年)は50.6~51.0%でしたので多少改善しています。ここでは何段階かのケースを示していますが、ここでは一番悪い「経済成長と労働参加が進まないケース」にしておきますが、これだと積立金が枯渇するため所得代替率は36~38%まで低下します。

それでも前回は35~37%でしたので、やはり若干は良化しているようです。私が受けている年金は、平均手取り年収がよく分かりませんので正確ではないのですが、何とか50%以上にはなっているような気もします。

今回の推定値が前回良くなっている要因は、出生率と就業率の改善が貢献しているようです。まず出生率(一人の女性が15~49歳までに産む子供の数の平均)の前提は2014年は1.35でしたが、2019年には1.44と上昇しています。

これは実際の出生率が2010年は1.39だったのに対して、2015年は1.45までに改善したためです。また就業率の前提は、2014年では58.4%(2030年時の推計)でしたが、2019年では60.9%(2040年時の推計)となっていますが、これは直近の就業率が特に女性や高齢者で上昇している影響です。

一方経済の前提をより保守的に見ています。数字は出しませんが全要素生産性や実質賃金上昇率も前回よりも引き下げられています。あまり良い経済前提を置くと批判にさらされるためかもしれません。

ただ出生率が現在の数値を維持するかといえば、全国的な晩産化などもあり低下していきそうな気もします。就業率については、高齢者が働きやすい環境はまだ整っていない感じですが、それでもこの前提の数値ぐらいは維持できるのかもしれません。

今回の結果で公的年金は将来も安心といえるのかは分かりませんが、それほどひどい状態になることはなさそうな気もします。