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イネの根の制御遺伝子を発見

2020-09-20 10:28:28 | 自然
根の張り方を制御する遺伝子をイネで初めて発見し、これを使い塩害に強いイネの開発に成功したと、農研機構などの研究グループが発表しました。

塩害を受けた水田では土壌が酸欠になりイネの生育を妨げますが、この遺伝子により根を地表に張らせることで、収量の減少を抑えることに成功しました。高潮や津波による塩害に強い品種の開発に役立つと期待されています。

研究グループは、インドネシアのイネの在来種からこの遺伝子を発見し「qSOR1」と命名しました。この遺伝子は根が重力を受けて伸びることに関係しており、この品種ではこの遺伝子が働かず、根が地表に張ることが分かりました。

地表に根を張らないイネのササニシキのqSOR1をインドネシアのものと入れ替えたところ、根が地表にも張るようになりました。

次に遺伝子を入れ替えたササニシキと普通のササニシキの収量を比べると、通常の水田では変わりませんが、塩害があると入れ替えた方が普通のササニシキより粗玄米で15%以上も収量が多くなりました。

この遺伝子により根が酸素の豊富な地表に伸び、塩害を受けた土壌の影響で酸欠に陥るのを避け、生育を改善できることが分かりました。グループが過去に発見した別の遺伝子DRO1も、根の形に関わることが分かっています。

そこでこの2つの遺伝子を組み合わせ、4パターンのイネを育てました。その結果、両方の遺伝子がともに働くイネでは根が最も深く伸び、両方が機能しないと根は浅く伸びることが分かりました。

遺伝子の組み合わせにより、根の形を自由に変えられることが分かりました。qSOR1を活用した品種改良により、高波や津波の水田の被害軽減や、老朽化し酸欠に陥りやすい水田などでの収量アップに役立ちそうです。

バングラデシュやベトナムなどの沿岸部で頻発する塩害対策にも貢献できるとしています。qSOR1の仲間は多くの作物に存在するため、ダイズやトウモロコシなどにも応用する期待が持てそうです。

イネの塩害対策の研究は、従来浸透圧やナトリウムイオンの取り込みなどに関係する遺伝子を対象とするものが多かったようです。研究グループは、イネ自体の耐塩性よりも、耐塩害という視点を持ち、土壌の酸欠状態に着目して研究し、根に着目した研究を広めたいとしています。

こういった植物の研究は、ひとつの結果が出るまでに長時間を要し、季節性もありなかなか難しいものですが、遺伝子研究が進むことにより目的を持った変異を導けるようになりました。

遺伝子組み換え植物の問題などもありますが、これから大いに進展しそうな気がします。


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