ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「なまず」は地震予知ができるか

2018-06-19 10:35:48 | その他
昨日大阪でかなり大きな地震がありましたが、今日は地震とナマズの話です。

動物の持つ人類には無い能力が地震の予兆を感知するという伝承が広く流布していますが、そういった研究から動物の地震予知能力について改めて検証する論文が出ました。

地震の多い日本では、地震に関する研究に多額の予算を投入してきました。しかし地震の予知にはあまり多くに研究費が割かれていないようです。この予知に関しては、1990年代終わりころから盛んに議論されてきましたが、過度の期待を市民国民に抱かせるべきではないという主張する研究者も多いようです。

日本では巨大なナマズが地中深くにいて、そのナマズが暴れると地震が起きるという信仰が長く続いていました。これは江戸時代に、地震の前にナマズが暴れたり不自然な挙動をしたという伝承によるもので、全く科学的ではないと思っていました。

しかしこれを化学的に研究した記録もかなりあるようです。最も古いものが1932年(昭和7年)に発表された、東北帝国大学のナマズを使った研究です。

これは7か月の研究期間に178件の地震が起き、その内149件(約80%)でナマズの異常行動が観察されたという内容でした。ナマズは地震発生の6~8時間前に普段とは違う敏感な行動を見せることが分かったというものです。

その他ナマズではないのですが、1995年の阪神淡路大震災の前日、大阪大学の実験用マウスが異常行動を示していたという報告があったり、2009年イタリアで起きたラクイラ地震の数日前からヒキガエルが異常行動を示したという研究が報告されています。

これらの行動については、生物が微弱な地震波動や電磁波を感知するのではないかという仮説がありますが、はっきりした理由はわかっていません。ただ地震という異常事態の体験が生物の行動と結びつき、より強調した記憶になるという認知バイアス的な心理状態(錯誤相関)による影響が考えられています。

つまり、生物は時として我々が知らない行動をとることがあり、たまたま地震の前にそうした行動があったことを地震と関連付けて強く記憶してしまうということです。

こういったことに関してドイツの研究チームが、過去に発表された生物の異常行動と地震予知に関する160の研究論文を比較し、生物が地震予知できるかどうかを分析したシステマティックレビューを発表しました。

いろいろ統計的な考察が出ていますが、結論としては生物が地震を予感するという宏観異常現象の研究報告には多くの不備や欠点があり、仮にこうした研究をする場合は基準を設けるべきとしています。細かい部分は省略しますが、こういった論文の科学的論証はないということのようです。

ただ現在の最新科学を使った地震予知と、ナマズの観察と大して違わないような気もしています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿