ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

農薬を使わない害虫被害を除く農業

2022-01-04 10:25:38 | 自然
農業の近代化が叫ばれてかなりの年月が経ち、多くは機械化が進んでいますがこの機器類が高価なことや、大規模農業化が困難であることが問題となっています。

それと共に後継者問題も深刻であり、休耕地の増加など日本の農業の抱える問題は多いようです。

実際の農業においては、生産される農作物の40%以上が害虫や雑草などによって失われる可能性があるとされています。世界的に見ると人口増加が進んでおり、その食料を確保するためにも害虫などによる農作物への被害を抑える必要があります。

そのため農薬の必要性が出てきますが、最近ではネオニコチノイド系の農薬の危険性などが叫ばれており、それほど簡単な問題ではないようです。ネオニコチノイド系農薬は、浸透性が高いため使用回数が減り、ヒトにも環境にも優しい農薬として開発されました。

しかし洗っても落ちない浸透性と長期に残留する残効性に加え、神経毒性が強いことが分かり人の健康にも影響が懸念されています。こういった農薬に依存しない害虫防除、害虫被害ゼロ農業の実現に向けた取り組みが実施されています。

政府が進めるムーンショット型農林水産研究開発事業として、「先端的な物理手法と未利用の生物機能を駆使した害虫被害ゼロ農業の実現」の研究開発プロジェクトが、京都大学を中心に進められています。

青色レーザー光による殺虫技術、新たな天敵系統の育種、行動制御などが研究内容ですが、ここではレーザー光による殺虫技術について取り上げます。

このレーザー光による殺虫技術とは、飛んでいる害虫を検知し追尾してレーザー光によって狙撃する技術です。農薬のように害虫に効かなくなるなどの心配がなく、環境への負荷も少ないといったことがメリットとして挙げられます。

現在開発したシステムでは、害虫を検知してからレーザーで狙撃するまでに0.03秒程度のタイムラグが発生してしまいます。そのわずか0.03秒程度の時間でも害虫は飛び続けていますので、全ての害虫をレーザー光で命中させることができないという課題がありました。

しかしこの課題の解決策として、検知から0.03秒後の害虫の位置をリアルタイムで予測する技術を開発し、飛び続ける害虫の位置を昼夜問わずに予測できるようななりました。

2025年までにこのリアルタイムで害虫の飛行を予測してレーザーを照射してすべてを駆除する技術の実用化を目指しています。

この技術が具体的にどのような装置になるのか、なかなかイメージできませんが、全ての害虫をレーザーで駆除してしまうというのは、新しい農業の第1歩と呼べるのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿