前回は生命の起源を考えるうえで、化学反応が起きるような「分子濃縮」が重要であることを述べました。
その点で温泉説の中でも陸上派が有利としましたが、リン脂質がこれに役割を持っている可能性があるようです。ここではリン脂質について触れていきますが、これは水にも油にも溶ける両親媒性分子です。
模式図では大体丸い頭に直接2本の足が生えているように描かれます。その丸い頭が水になじみやすい親水基で、2本の足が油になじみやすい疎水基です。このリン脂質を一旦溶かして乾燥させ、そこに水を垂らすと積み重なったシートの間に水が入り込み、丸まった袋になりこれを「ベシクル」と呼びます。
頭が水とくっつこうとし足は離れようとする、その性質で自然に(機械的)丸くなってきます。この現象が前回述べた間欠泉の水たまりで起きれば、袋になるときはさまざまな分子が溶けた水を中に包み込んでしまいます。
それがタンパク質や核酸のような分子であれば、リン脂質の膜は細胞膜と同じですから、割と細胞に近いものができるわけです。ただしこのベシクルの脂質二重層は壁としての役割は果たしますが、透過性が悪くなってしまいます。
水などの小さな分子は通すのですが、それ以外の分子になるとほとんど弾いてしまいます。実際の細胞膜にはタンパク質でできた出入り口があり、特定の分子を内外でやりとりしていますが、自然にできたベシクルではこのようなものは当然ありません。
この問題を解決する新しい発見が最近報告されました。数十個の比較的大きいベシクルを10倍ぐらい大きな部屋に入れ、いろいろな物質が溶けた溶液を流し続ける装置を考案しました。
ここにウラニンという緑色に光る蛍光物質を流すと、本来入らないはずのベシクル内が明るい緑色になったのです。このメカニズムを簡単に説明すると、部屋の壁に当たったベシクルに小さな穴が開き、そこから入ったマイナスの電荷をもった物質が内側から修復するを繰り返していたのです。
これはやや分子の大きいATPという生物がエネルギー源としている物質でも観察されました。この内部に入って濃縮されるためにはマイナスの電荷が必要ですが、生命に必須のタンパク質や核酸類は皆若干マイナスの電荷を帯びているのです。
この装置と同じような環境が海底の噴出口にもあり、ここでベシクル内に大きな謎であった「分子濃縮」が起きている可能性が出てきたわけです。このように海底の噴出口に物質の濃度が高い液が出てきたとき、リン脂質からベシクルができる可能性は十分考えられます。
ただその中に生命誕生に必要な物質がため込まれていったとしても、それがどうやって生物になったかはまだまだ謎ですが、生命誕生の謎の解明に一歩近づいた発見であるような気がします。
その点で温泉説の中でも陸上派が有利としましたが、リン脂質がこれに役割を持っている可能性があるようです。ここではリン脂質について触れていきますが、これは水にも油にも溶ける両親媒性分子です。
模式図では大体丸い頭に直接2本の足が生えているように描かれます。その丸い頭が水になじみやすい親水基で、2本の足が油になじみやすい疎水基です。このリン脂質を一旦溶かして乾燥させ、そこに水を垂らすと積み重なったシートの間に水が入り込み、丸まった袋になりこれを「ベシクル」と呼びます。
頭が水とくっつこうとし足は離れようとする、その性質で自然に(機械的)丸くなってきます。この現象が前回述べた間欠泉の水たまりで起きれば、袋になるときはさまざまな分子が溶けた水を中に包み込んでしまいます。
それがタンパク質や核酸のような分子であれば、リン脂質の膜は細胞膜と同じですから、割と細胞に近いものができるわけです。ただしこのベシクルの脂質二重層は壁としての役割は果たしますが、透過性が悪くなってしまいます。
水などの小さな分子は通すのですが、それ以外の分子になるとほとんど弾いてしまいます。実際の細胞膜にはタンパク質でできた出入り口があり、特定の分子を内外でやりとりしていますが、自然にできたベシクルではこのようなものは当然ありません。
この問題を解決する新しい発見が最近報告されました。数十個の比較的大きいベシクルを10倍ぐらい大きな部屋に入れ、いろいろな物質が溶けた溶液を流し続ける装置を考案しました。
ここにウラニンという緑色に光る蛍光物質を流すと、本来入らないはずのベシクル内が明るい緑色になったのです。このメカニズムを簡単に説明すると、部屋の壁に当たったベシクルに小さな穴が開き、そこから入ったマイナスの電荷をもった物質が内側から修復するを繰り返していたのです。
これはやや分子の大きいATPという生物がエネルギー源としている物質でも観察されました。この内部に入って濃縮されるためにはマイナスの電荷が必要ですが、生命に必須のタンパク質や核酸類は皆若干マイナスの電荷を帯びているのです。
この装置と同じような環境が海底の噴出口にもあり、ここでベシクル内に大きな謎であった「分子濃縮」が起きている可能性が出てきたわけです。このように海底の噴出口に物質の濃度が高い液が出てきたとき、リン脂質からベシクルができる可能性は十分考えられます。
ただその中に生命誕生に必要な物質がため込まれていったとしても、それがどうやって生物になったかはまだまだ謎ですが、生命誕生の謎の解明に一歩近づいた発見であるような気がします。
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