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動物たちの多彩なフェロモンのはなし

2021-02-04 10:32:36 | 自然
フェロモンという言葉が出てきたのは1959年といわれています。

ホルモンが自身の身体に作用し、いろいろな機能を発揮するのに対し、他の個体に作用する物質としてフェロモンという名前が出てきました。

当時はほとんどが昆虫の性フェロモンでしたので、もてる男性がフェロモンを出している等といわれたものですが、現在ではすっかり消えてしまったようです。その後フェロモン研究は多くの面で進展し、性フェロモンだけでなく多くのフェロモンが発見されました。

例えばミツバチの女王バチが出すフェロモンには、繁殖の可能性、縄張り、食料を探す場所など多岐にわたっているようです。またこの中には働きバチが女王にならないように抑制する効果もあるとされています。

私の大学の研究室は、この昆虫フェロモン合成が大きなテーマとなっていましたので、何となく身近なものに感じていました。やや専門的になりますが、天然物を研究するグループがフェロモンを発見し構造決定しても、その絶対配置に関しては決めることができません。

そこで有機合成によって絶対配置のわかったフェロモンを全合成し、そこを決定するという共同研究の形ができていたのです。

当時はこういった研究が盛んで(1970年代)、私の友人もゴキブリの集合フェロモンを探索していました。ゴキブリからの抽出物から候補をいくつか見つけ、ほんとうに集合フェロモンかを試験するにはゴキブリを使うしかないわけです。

ところがゴキブリは2,3匹が集まるとすべてそこに集まるという習性があり、アッセイが非常に難しいとこぼしていました。その後集合フェロモンを見つけたようですので、何とかこの問題をクリアしたようです。

さて昆虫のフェロモン作用は比較的単純ですが、哺乳類になるとかなり複雑になるようです。それでもブタ、イヌ、マウスなどの飼育された動物には、においの合図やフェロモンに反応するものもいることが分かってきました。

具体的には鼻の奥にある感覚神経から脳の「辺縁系」に行動を促す信号が送られます。野生動物でもワオキツネザルのオスは、手首や肩の臭腺から出る分泌物を尾にこすりつけ、匂いをメスに送ってアピールするようです。

これが性フェロモンかどうかは交尾成功率が上がるのかといった検証が必要ですが、霊長類にもフェロモンは存在するようです。

現在まで人間に性フェロモンがあるという科学的なコンセンサスは取れていません。それでも人間は哺乳類なので、においを情報として使っている可能性は高いとされています。

一時下火になったフェロモン研究ですが、人間を含めた哺乳類での研究が進めば、予想外の面白い発見があるのかもしれません。


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