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触媒で砂同士をつなげた建材を開発

2021-06-04 10:26:37 | 化学
現代の建築物は、多量のコンクリートによる頑健な構造により安全な構築物となっていますが、この時に使用するセメント材料の不足が懸念されています。

東京大学の研究グループが、セメントや樹脂などの接着成分を使わず、触媒で砂同士を直接つなげた建材を開発したという記事がサイエンスポータルに掲載されました。砂や砂利など二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする材料が使えるようです。

実用化すればコンクリートの原料不足の課題を解決するほか、低温でできるため製造時のエネルギー消費の抑制にもつながるとしています。建材などとして広く普及しているコンクリートは、砂と砂利に「つなぎ」の役目をするセメントと水を加えて製造します。

ただ適したサイズの砂や砂利、セメントの主原料である良質な石灰石の不足が世界的に課題となっており、長期的に建築や土木工事への影響が懸念されているようです。

またセメントの製造では二酸化炭素が多く発生するため、枯渇しない原料を用い、少ないエネルギーで製造できる建材が求められています。東京大学生産技術研究所のグループは、次世代の建材開発を研究しました。

アルコールに触媒の水酸化カリウムを溶かした液体に砂を入れ、密閉容器内で240℃まで加熱しました。その後に室温まで冷却することで、人工の硬い石を作ることに成功しました。

セメントのようなつなぎを使わず、加熱により砂の化学結合を一旦切断し、冷却することで砂に別の結合をさせる仕組みです。この辺りのメカニズムは無機化学がよく分かりませんのではっきりしませんが、SiO2が新たな強固な結合となるようです。

珪砂、ガラス、砂漠の砂などSiO2を主成分とする材料から硬い石を製造できたとしています。セメントの製造工程では1450℃という高温が必要で、砂自体を溶かして結合する方法でも1000℃以上が必要と大きなエネルギーを使うことになります。

これに対し今回の技術では大幅な低温化に成功し、製造後に残るアルコールと触媒は繰り返し使えるようです。コンクリートに比べ耐久性が高い反面、強度は現状では半分ほどですが、触媒の種類や砂粒の大きさ、加熱時間や温度などの工夫を通じ強度を高められるとしています。

SiO2は多くの砂や砂利の主成分である他、廃ガラスなどにも含まれます。この技術を使えば球状で小さい砂漠の砂など、従来コンクリートの材料としては使えなかった砂や砂利も利用でき、資源の枯渇が避けらるようです。

こういった技術はあまり良く分かりませんが、建築にはこれからますます強固な建材が求められていますので、新しい建材として期待が持てそうな気がします。


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