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ガンを分子レベルで早期発見

2021-06-03 10:08:16 | 健康・医療
多くのガンは新しい治療法の開発や抗ガン剤の登場によって完治可能な病気となってきましたが、やはり治療の根本は早期発見が重要と言えます。

明治大学の研究成果を報告するサイトに、早期診断法としての磁性ナノ粒子を用いる方法が掲載されていました。

現在ガンなどの疾病を画像診断する方法としては、CTやMRIが一般的で、画像の分解度が非常に高くなり、1ミリ以下のものまで映し出すことができるようになっています。

しかし肉眼では1ミリのコントラストを識別することは難しく、ガンの腫瘍の場合1〜3センチくらいの大きさでなければ見つけることは困難です。そこでガン細胞に集まりやすいように細工したトレーサーと呼ばれる物質を体内に投与し、それがどこに集まっているかを確認するという技術が開発されています。

明治大学では磁性ナノ粒子、すなわち磁石の性質を持ったナノ粒子の開発が行われています。磁性ナノ粒子にガン細胞に集まりやすい特性を持った物質をまとわせます。それを溶液にして、静脈注射で体内に投与すると、まとった物質の特性によってガン細胞に集まります。

通常の細胞は異物が入ってくるとそれを流し出そうとしますが、ガン細胞では異物を出す機能が不活発で、そのため磁性ナノ粒子はガン細胞にたまっていきます。そこで体外から磁性ナノ粒子が集まっている場所を検出すれば、微小なガン細胞の位置が分かるということになります。

これを分子イメージングと言いますが、放射線を放出したり蛍光を出す特性を持った物質のナノ粒子をトレーサーに用いる技術もあります。しかしこういった技術はそれぞれに課題があります。

その点磁性ナノ粒子のトレーサーはメリットが多いのですが、やはり課題があり実用化に至っていないのが現状です。磁性ナノ粒子イメージングの大きな課題は二つあり、検出の装置が大型になることと、生体の安全性の確保です。

体内の磁性ナノ粒子を検出するためには、体の外から磁場をかけるのですが、全身を調べようとすればそれだけで今のMRIの装置と同じぐらいの大きさが必要となります。さらに磁場を作るコイルや電源が必要で、全体として非常に大きな装置になってしまうのです。

生体の安全性の問題とは、磁場をかけると生体に刺激が加えられたり発熱することです。こういった課題を解決するために、装置の小型化で正確な画像を作る技術の開発を行っているようです。

また磁性ナノ粒子に超音波を使って揺らし、揺れる磁石が発する信号を受診してその位置を探り当てる技術の開発も進めているとしています。

これはPETによる診断と類似していますが、より小さなガン組織も検出できるようですので、一刻も早い実用化を期待しています。


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