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医薬品の副作用とはならない「副作用」その2

2023-09-29 10:32:31 | 
前回は副作用ではなく、研究の進め方で終わってしまいましたのでその続きです。当時は病気に関与する酵素を特定し、その酵素を阻害するなどして症状を抑えるという方法が主流でした。

ここでは時々出していますが、ACE阻害剤という血圧を下げる薬を例に挙げます。ACEはアンジオテンシン変換酵素の略ですが、これを阻害することによって血管収縮作用のあるアンジオテンシンという化合物を作らせないようして血圧を下げる薬です。

この薬は非常に効果が高く、高血圧の治療には欠かせない薬となっています。アンジオテンシンは、例えば急に寒い目に合ったり、恐ろしいことがあると急激に血管が収縮して、いわゆる「鳥肌」が出る作用があります。

それ以外にも血管を収縮させることもあるようで、この物質を作らせなくすると血圧が下がり、副作用も重篤なものはなく非常に使いやすい薬剤として知られています。ですからこの薬を服用しても、日常生活には全く問題がなく、血圧が下がるという理想的な医薬品となっています。

しかし若干の問題があり、この薬を長期服用するとだんだん効かなくなってしまうのです。通常はこの段階で違うメカニズムの薬に変えることによって対処しています。

この効かなくなる原因も分かっており、ヒトの身体はこのACEという酵素を通らないルートで、アンジオテンシンを作り始めてしまうためとされています。

私はこのアンジオテンシンの詳細な生理作用についてはよく分かりませんが、かなり重要な働きをするヒトにとって必須の化合物のような気がします。そのため通常の合成ルートが阻害されてしまうと、別な合成ルートを見つけアンジオテンシンを作るようになるのではないかと考えています。

患者はACE阻害剤を服用することによって、自覚できるような不調は出ないのですが、何らかの不都合が起きているのではないかと思われます。ヒトの身体は微妙な調整によって恒常性が維持され、健康な状態が保たれています。

この調整役となる重要な化合物を作らせなくすることは、自覚できないとしても何らかの問題が発生しており、これが「見えない副作用」ではないかと思っています。

このようにある程度長期的に服用すると効かなくなるクスリはかなり多く、たとえば高コレステロール治療薬のメバロチンなどがその例です。

生活習慣病といわれる症状は、薬を長期間、場合によっては一生飲み続けるわけですが、これで本当に「見えない副作用」が出ないのかは大いに疑わしいと思っています。


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