私は長年新薬の研究をしてきましたが、その研究方法も色々変化していました。その最たるものが、作った化合物に効果があるかどうかを調べるアッセイ法です。
初期のころは、ターゲットとなる病気・症状のマウスを作り、それに投与して効果があるかどうかを見る動物実験でした。この場合投与量が分かりませんので、たとえば10mg、50mg、100mgといったように3点ぐらい取るのが普通でした。
つまり化合物1つに3匹のマウスが必要になり、場合によってはこの3匹の血液検査も必要になるのです。これは手間も時間も大変な作業になり、一般的に新薬開発の確率は1万分の1といわれています。
これは臨床試験なども含めた数ですので、実際は1000個程度で候補化合物が見つかることは多いです。この方法は評価実験が大変なだけでなく、私のように合成する側にも大きな負担が出てきます。
先ほどの例でいえば、合成する化合物は500mg程度必要になってしまいます。こういった候補化合物は10工程程度かかり、収率よく合成する検討はしませんので全工程の収率は1%程度となってしまいます。
すると10化合物作るには、共通の出発原料は500g程度必要となりますが、この量は実験室としては最大量となります。つまりかなり頻繁に原料からの同じ反応が必要となるわけです。こういったことから簡単な方法で1次スクリーニングができるように研究が進みました。
その結果ターゲットにする病気や症状の原因となる酵素が発見されてきました。こういった酵素に対して阻害活性があれば、その病気や症状に効果が出ることが期待できるわけです。
これで1次スクリーニングは、酵素を阻害するかどうかを試験管内で調べる方法に変わり、短時間で少量で簡単に測定できるようになりました。合成する量も構造決定と保存用を含めても、50mg以下で十分足りるようになり、研究は一気に加速しました。
我々が合成したサンプルはすべて一定量保存しており、新たな病気や症状のターゲットが決まると、その関連酵素の阻害活性がないかを必ず調べていました。しかし私が知る限り、この保存サンプルから阻害活性があるものが見つかったことはありませんでした。
こういった研究には研究員の「こういった酵素にはこの構造が良い」といった考えでスタートしますが、こういった研究員のイメージが重要なのかもしれません。
ここでは見つかった医薬品の作用について述べるつもりが、研究の進め方になってしまいましたので、次回に続きます。
初期のころは、ターゲットとなる病気・症状のマウスを作り、それに投与して効果があるかどうかを見る動物実験でした。この場合投与量が分かりませんので、たとえば10mg、50mg、100mgといったように3点ぐらい取るのが普通でした。
つまり化合物1つに3匹のマウスが必要になり、場合によってはこの3匹の血液検査も必要になるのです。これは手間も時間も大変な作業になり、一般的に新薬開発の確率は1万分の1といわれています。
これは臨床試験なども含めた数ですので、実際は1000個程度で候補化合物が見つかることは多いです。この方法は評価実験が大変なだけでなく、私のように合成する側にも大きな負担が出てきます。
先ほどの例でいえば、合成する化合物は500mg程度必要になってしまいます。こういった候補化合物は10工程程度かかり、収率よく合成する検討はしませんので全工程の収率は1%程度となってしまいます。
すると10化合物作るには、共通の出発原料は500g程度必要となりますが、この量は実験室としては最大量となります。つまりかなり頻繁に原料からの同じ反応が必要となるわけです。こういったことから簡単な方法で1次スクリーニングができるように研究が進みました。
その結果ターゲットにする病気や症状の原因となる酵素が発見されてきました。こういった酵素に対して阻害活性があれば、その病気や症状に効果が出ることが期待できるわけです。
これで1次スクリーニングは、酵素を阻害するかどうかを試験管内で調べる方法に変わり、短時間で少量で簡単に測定できるようになりました。合成する量も構造決定と保存用を含めても、50mg以下で十分足りるようになり、研究は一気に加速しました。
我々が合成したサンプルはすべて一定量保存しており、新たな病気や症状のターゲットが決まると、その関連酵素の阻害活性がないかを必ず調べていました。しかし私が知る限り、この保存サンプルから阻害活性があるものが見つかったことはありませんでした。
こういった研究には研究員の「こういった酵素にはこの構造が良い」といった考えでスタートしますが、こういった研究員のイメージが重要なのかもしれません。
ここでは見つかった医薬品の作用について述べるつもりが、研究の進め方になってしまいましたので、次回に続きます。
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