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木材が人間に及ぼす科学的な影響

2022-02-20 10:25:31 | 自然
私の家はいわゆるツーバイフォーで建てられており、基本的に柱はないのですが木造建築と言えます。

「何となく木は良い」という感じがありますが、落ち着く、ぬくもりを感じる、心が安らぐなどの住み心地、居心地の良さがあるような気がします。

日本人は日用品、住居、燃料などといった生活必需品は木の種類を使い分けるなど「木の文化」を育んできました。日本人と木の親和性の高さに起因した感情は歴史的なものですが、「木の良さ」を科学的に解明しようとする研究は、1960年代以後さまざまな研究者が取り組んでいます。

まず木材の物理特性から見た「良さ」については、木材を含む各種材料にガラス玉を落とし割れる高さを比較した事例では、プラスチックや大理石と比較し衝撃吸収性が優れていることが分かっています。

コンクリートやビニールタイルなどの床材料と比較して、木材の方が触れた際の温度低下が緩やかであり、接触時に体温を奪う作用も小さくなっています。こういった居住空間に木材を取り入れることで、居住快適性が向上するという報告もあります。

また湿度については、人滞在時における室内相対湿度が木材内装はそれ以外の内装よりも常に低くなることが示され、木質空間の方が湿度が高くなりにくいことが分かっています。木質空間ではビニールクロス空間と比較して、相対湿度の変動が穏やかであることも示されています。

こういった効果は、木材が熱物性に優れ比強度の高い多孔質材料であるために得られるもののようです。さらに木材に含まれる精油成分は50種類以上の化学混合物で、化学反応的消臭効果やホルムアルデヒドを吸い取るといった効果も知られています。

つまり木材を使うことの良さについては、木材の物理・化学特性からある程度説明できるわけです。次に木材と人間の心理・生理応答については、日本全体の傾向に匹敵するほどの科学的普遍性を持った研究成果は少なくなっています。

行動分析や意識調査によって間接的に人間に与える影響を調査した事例では、コンクリート校舎と比較して木造校舎の方が教師や生徒の疲労症状が抑制され、インフルエンザによる学級閉鎖率が低いといった報告があります。

木材は多孔質材料で、その主要成分であるセルロースなどは多くのヒドロキシ基を有しているため、水分子を吸着しやすい特性を持ちます。したがって空気中の湿度を調整する作用によって菌の増殖が抑制されると考えられています。

その他スギの香りによって収縮期血圧や脳活動が穏やかになるといった報告もあり、木材の良さは科学的にも検証されているようです。

実際にこういった「木の良さ」が発信されることによって、木材利用への関心は高まっているようです。


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