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肥満症治療薬「ウゴービ」が抱えるニーズと乱用

2024-03-24 10:34:28 | 
このブログでも肥満を時々取り上げていますが、私は肥満が多くの病気の誘因になっているのではないかと思っています。

この肥満症の治療薬「ウゴービ」が2月末に販売開始されました。肥満症治療の新しい選択肢として期待される一方で、このクスリにはネガティブな意見も付きまとっています。

ウゴービは、いわゆる「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる薬の一種で、体内でインスリンの分泌を促します。インスリンは第一に血糖値を下げる働きがあり、そのためGLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療薬として、血糖値の高い患者に対してそれを下げる目的で長らく使われてきました。

またインスリンは食欲を抑える働きもあり、そのためこの薬は欧米では肥満症の治療薬としても使われています。ウゴービは欧米を中心に利用者が急増していますが、日本でも2023年3月に新しい肥満症の治療薬として薬事承認されました。

服用できるのは、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限るとされ、「BMIが27以上であり、2つ以上の肥満に関する健康障害を有する」か「MBIが35以上」の人のみとなっています。

つまりこの薬は肥満解消にも効果があるのに、一般的なダイエットには使えないという構造になっています。この状況で何が懸念されるかというと、2型糖尿病患者への治療薬が、気軽なダイエットなどにおいて「適用外」で乱用されることです。

厚生労働省は昨年7月、「GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」という事務連絡を各都道府県など衛生主管部に発出しました。適用外でGLP-1受容体作動薬が乱用されると、2型糖尿病患者にこのクスリが行きわたらなくなるという危機感が、医療関係者を中心に高まっていたためです。

ウゴービは2023年5月と8月に薬価収載・保険適用が見送られた経緯がありますが、日本での 販売の見通しが立たなかったのは、このような背景によります。

これまで気楽なダイエット薬として購入できたこの薬は、基本的に肥満症治療薬と同じ成分の物が自由診療などで適応外で処方されたものでした。

適応外で処方されるGLP-1受容体作動薬について、厚労省や消費者庁、国民生活センターは「糖尿病でない人への安全性と有効性は確認されていない」として注意喚起を繰り返してきました。

この適用外には二重の意味があり、ひとつは糖尿病患者へのクスリが気楽なダイエット目的に使用されることと、治療が必要な肥満症患者へのクスリが気楽なダイエット目的に使用されることです。

圧倒的多数の気楽なダイエットを目指す人がいる以上、何らかの規制をもうけないとクスリ不足になる可能性はありそうです。


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