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iPS細胞から結石を溶かすマクロファージを作成

2024-05-17 10:32:36 | 健康・医療
私は経験がないのですが、尿路結石の痛みは本当にひどいようです。

私が大学に研究生として行っていたころ、後輩に今夜あたり結石の痛みが出そうだから泊ってくれと頼まれました。予感どうり夜中に痛みが出て、彼の車で近くの大学病院に連れていきましたが、本当に痛みがひどそうでとても一人では対処できそうもありませんでした。

この結石を溶かす免疫細胞のマクロファージを、ヒトの血液細胞より生成されたiPS細胞から作ることに名古屋市立大学などのグループが成功しました。患者が増えている尿路結石の予防薬や溶解を促す治療薬の探索に役立つと期待されています。

尿路結石は腎臓内で形成された結石が、尿の通り道である尿管を詰まらせる病気で、背中などに強烈な痛みを起こします。結石の長径が1センチまでならば、尿と一緒に自然に体外へ排出されるのを待つのが一般的な治療法で、大きい場合には衝撃波や内視鏡を用いて破砕することが多いようです。

再発率は5年で50〜60%と高いですが、効果的な予防法は約2000年前からずっと「十分な水分を摂取する事」とされています。名古屋市立大学の研究チームは、2007年にマウスを使った研究で尿路結石が自然に消える現象を発見しています。

2009年から10年にかけては、マクロファージが結石を溶かすことが分かりました。その後炎症を引き起こして結石の形成を進めるとされるマクロファージとは別の型のM2型マクロファージが結石の予防に役立つことを明らかにしました。

ヒトの血液からマクロファージを多く取り出すのは難しいため、ヒトiPS細胞から大量のマクロファージを生成し、結石を溶かすことができないかを確かめました。iPS細胞はヒトの血液細胞から生成し、約1カ月かけてマクロファージに分化させました。

生理活性物質を使って炎症性のM1型マクロファージと抗炎症性のM2型マクロファージを分化させ、尿路結石のおよそ8割を占める成分であるシュウ酸カルシウム水和物を加えて観察すると、M2型は移動し周囲の結晶を溶解しました。溶解率は最大でM1型の5.6倍に上りました。

マクロファージそのものを培養して結石を溶かす薬剤にするのはコスト面から現実的ではないが、既存薬などから転用できるものを見つけ出す「ドラックリポジショニング」を行う際に、結石の予防や溶解に有効な薬剤を見つけるために使えるとみられるとしています。

実際にこういった薬剤を見つけるまでには、かなり時間がかかるかもしれませんが、尿路結石治療薬の新たな開発の方向といえるのかもしれません。またこういった方向がiPS細胞の有効利用になることは確かです。


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