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薬の副作用についての考え方

2021-10-27 10:25:06 | 
私は長年医薬品の合成研究を行い、このブログでも「薬」をカテゴリーとして取り上げ多くの記事を掲載してきました。

ここではそういった薬の副作用について例を上げながら考えてみます。ほとんどの薬が、体内の酵素や受容体に結合しその活性を阻害したり活性化することで効果を発揮します。

副作用というのは、多くはその薬剤が目的とする物以外に結合したりして、治療効果以外の作用を出してしまうためと説明されています。

そこでよく使われる薬として、降圧剤の中のACE阻害剤について考えてみます。これはアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、生体内物質で血管収縮作用のあるアンジオテンシンを作らなくさせる薬です。

この副作用としては、めまい、頭痛、眠気などが記載されていますが、ごく稀ですがそのほかの重篤な副作用も報告されています。アンジオテンシンは腎臓に作用して、血管中の水分を増加させることでも血圧を上げることが知られています。

この血管収縮作用は、急に寒い所へ出たときやぞっとした時など、寒気を感じたときに発現します。このACE阻害剤を飲むと確実に血圧は下がりますので、アンジオテンシンは常に何らかの作用をしているということになります。

ヒトの身体にとって必要な生理活性物質ですので、長期間服用するとこの酵素を通らないルートで作るようになります。つまりだんだん薬の効果が無くなってくるのです。このように体に必要な物質をなくし、血圧を下げることで何か別な影響は出ないのでしょうか。

もちろん医薬品の開発にあたっては、動物実験で副作用が出ないかは念入りにチェックします。また臨床試験では被験者数はあまり多くありませんが、そこで当然副作用も調べています。

実際に実用化されると何万、何十万の患者に使用されますので、発売開始から副作用情報を集め、それも含めた副作用情報を更新していきます。従って発売後1年以上たてば、ヒトに対しての副作用は大体わかり、重篤なものがないことも証明されています。

つまり安全な医薬品であるといえるわけです。しかし体内の必須の物質をなくしてしまうことで、症状としては出ないような作用が出る可能性は高い気がします。

良く鳥肌が立つといいますが、この鳥肌はアンジオテンシンの作用です。鳥肌が立つことが無くなっても問題なさそうですが、本当にそうなのか疑問が残ります。

アンジオテンシンの作用など調べてもなかなかわかりませんが、医薬品というのは常にそういった危険性があるものと認識する必要があるのではないでしょうか。特に生活習慣病の治療薬は、長期間服用するケースがほとんどです。

その薬が効かなくなるまでの期間、ある必須の物質や必要な受容体の作用を抑えることは本当に体のためになるのか疑っています。


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