ごっとさんのブログ

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喫煙しているのに肺ガンにならない人の遺伝子

2023-05-05 10:34:13 | 煙草
喫煙しているのに肺ガンにもならず、長寿を全うする人もいます。

私の会社の大先輩は、生涯ハイライトを吸い焼酎をこよなく愛していましたが、95歳の天寿を全うしました。

近年のゲノム生物学の進歩によって、生活習慣や環境で遺伝子の働きが変わり、病気のなりやすさも変わることが明らかになってきています。喫煙しても肺ガンにならない人がいるかと思えば、ピロリ菌に感染しても胃ガンになるとは限りません。

ゲノムのどこかにある「文字」がどう変化していたら病気になりにくいのかが分かれば、病気の予防と治療に役立つはずです。しかしこれを調べるのは簡単ではなく、ゲノムには66億個の文字が書き込まれているのです。

そこで開発されたのが、2005年頃から盛んに行われるようになったGWAS、ゲノムワイド関連解析です。GWASを使って病気のなりやすさに関わる箇所を探すには、まず多くの患者と健康な人から血液を採取して、赤血球以外の血液細胞からゲノムを取り出します。

取り出したゲノムを大型コンピューターで解析すると、人によってゲノムがわずかに違う箇所がいくつも見つかります。そのなかで患者のグループに共通の変化を探し当てれば、この部分が病気のなりやすさに関わっていると見当が付きます。

研究のたびに患者を集めて血液検査を行うのは手間がかかるため、近年では世界各国の多数の人から集めたゲノムを納めた巨大なデータベースが作られ、世界中の研究者が利用できるようになっています。

これにより数十万人、数百万人のゲノムを使って、すぐに研究に取り掛かれるようになりました。このGWASを駆使して得られたデータは「GWASカタログ」などのウエブサイトで公開されて、誰でもアクセスできるようになっています。

長年喫煙していても肺ガンになりにくい人についても、解明につながる発見がありました。タバコが肺ガンを引き起こすのは、煙に含まれる発がん物質がDNAの一部に結びつき、ここに並んだ文字を書き換え遺伝子変異を起こします。

これによりガンの発生を促すような悪い指令が出てしまい、ガンが発生しやすくなります。この時発がん物質が遺伝子にどのくらい強く結びつくか、逆に身体が発がん物質をどのくらい早く分解して追い出してしまえるかは、持って生まれた設計図の違いすなわちゲノムの特性によって決まることが明らかになりました。

このように病気になるかどうかは遺伝子のタイプによって決まってしまうという結論ですが、この性質を変えることもできるという研究もあるようです。

私はこのタバコの発ガン性についてやや疑いを持っているのですが、それは話の筋が違っていますので、別の機会に書くことにします。


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