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受動喫煙による肺ガン発症のメカニズム解明

2024-06-13 10:35:26 | 煙草
ずいぶん前から受動喫煙という言葉が注目されています。喫煙をしない人が周囲に流れるタバコの煙を吸うことですが、この量などは場合によって大きく異なり、その害を解析することは難しいのではと思っていました。

国立がん研究センターなどの研究グループが、受動喫煙による肺ガンの発症は、能動喫煙とは異なるメカニズムの遺伝子変異を誘発していることを明らかにしました。炎症により特定のタンパク質が活性化することで変異が生じるようです。

タバコを吸うと肺ガンになりやすいとされています。例えば発がん性物質の一種であるベンゾピレンがDNAに作用し、DNA中のシトシンがアデニンに変異してしまいます。この「タバコ型変異」によりガンが発症します。

一方受動喫煙については肺ガン発症のリスクとなっていることは認知されていたものの、発症に至るメカニズムは分かっていませんでした。国立がん研究センターのグループは、発症のメカニズムを解析するために肺ガン患者の調査を行いました。

10代と30代で受動喫煙を受けていたという女性で、国立がん研究センター中央病院で肺ガンの手術を受けた213人の患者の遺伝子解析を行い、同意を得られた64人はすべてのゲノム領域を解析し、喫煙で肺ガンを発症した女性患者と比較しました。

その結果受動喫煙では「アポベック型変異」という、タバコ型変異とは異なる部分のDNAが変異することが分りました。具体的にはDNA中のシトシンがチミンもしくはグアニンに変わっています。

この変異はタバコに含まれる物質による肺の中の炎症で、アポベックタンパク質が活性化することで誘発されます。アポベック型変異により初期の腫瘍細胞が悪性化するのを促進し、肺ガンが起きるメカニズムが考えられるとしています。

アポベック型変異は受動喫煙の肺ガン発症の原因と推察されるとともに、ガン細胞のDNAに均一には存在していないことも分かりました。研究グループは、不均一な存在であるために、異物として排除されることなく生き残ってしまいます。

タバコの含有物質による炎症に加え、ガンになる理由なのではないかと考察しています。なお今回の研究対象を女性に限定したのは、男性患者の受動喫煙では居酒屋など一時的なものにとどまり、保護者や配偶者の喫煙環境に日常的にさらされるという類似した環境下にあるのは女性が多いためとしています。

また肺ガンを発症したのは、受動喫煙から数年〜数十年を経た60代以降が多かったようです。解析の結果アポベック型変異は、受動喫煙があるタバコを吸わない女性に突出して発現していたとしています。

この変異は喫煙女性にはほぼ見られなかったようです。この辺りが面白いところかもしれません。私は日常生活において、受動喫煙が本当にあるのかは疑っています。


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