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視力低下を回復する新手法、網膜修復を確認

2024-10-25 10:31:20 | 健康・医療
先日運転免許更新のための高齢者講習を受けた時、かなり詳しい目の検査をしました。

動体視力や急に暗転した時や逆に明るくなったときという、面白い検査で私は若干視野角度が狭いようでしたが運転には問題がないという事でした。この結果はどこかに提出することもなく、測定して終わりですので教習所の金もうけのためのような気もします。

さて理化学研究所などが、加齢による網膜の病気を治療し視力の改善を図る新たなアプローチを示した研究報告を発表しました。網膜の中心部にある黄斑に穴が開く「黄斑円孔」という病気があります。これは主に高齢者や女性に多く見られ、中心視力の低下やゆがみを引き起こします。

これは加齢とともに、眼球内の「硝子体」と呼ばれる透明なゲル状の液体が厚くなり、網膜を引っ張ることで組織に穴が開くことが原因とされています。

9割の患者は従来の手術で治癒しますが、難治性の場合には網膜の一部を他の部位から切り取って移植することで穴をふさぐ治療が、ひとつの方法として近年行われています。

成功率は高いものの手術操作が煩雑で危険を伴い、また網膜を切り取った部分が見えなくなってしまう問題がありました。この課題に取り組むために研究チームは、ヒト胚性幹細胞(hESC)を用いた新たなアプローチを試みました。

まずヒト胚性幹細胞を用いて、3次元培養により「網膜オルガノイド」という小さな網膜組織を作製しました。この網膜オルガノイドは、遺伝子操作によってON型双極細胞(視細胞からの信号を脳に伝える細胞の一種)を減らし、視細胞が移植先の網膜細胞とつながりやすいものを使用しました。

この網膜組織をニホンザルの右眼の網膜にある約330μmの黄斑円孔に移植しました。移植手術では、サルの目の硝子体を取り除き、網膜の内境界膜という薄い膜をはがしたのち、網膜オルガノイドのシートを黄斑円孔に挿入しました。

手術後の経過を観察すると、移植した網膜組織が黄斑円孔をきれいに埋め、穴が閉じたことを確認できました。さらに移植した組織の中で視細胞が発達し、稈体細胞(光の明暗を感じる細胞)や錐体細胞(色を感じる細胞)を形成していました。

研究チームは、サルの片目ずつ固視検査を行うよう訓練を実施しました。この検査では、画面上に次々表示される指標に一定時間視線を固定する必要があります。移植前の段階では、サルの視線が固定できたのは表示された中のわずか1.5%の指標にすぎませんでした。

しかし移植から6か月後に行われた3回の検査では、11〜26%の指標に視線を固定できるようになりました。さらに移植6か月後の局所黄斑部網膜電図検査では、網膜の特定の細胞の反応が、移植前と比べて約1.6倍に増加しました。

これは網膜オルガノイド移植による円孔閉鎖によって、サルの視機能が改善したことを示しています。これはあくまでサルでの実験ですが、ヒトにも十分応用が可能としています。


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