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「老後2000万円問題」は3年で「老後55万円問題」になった

2024-09-18 10:31:48 | 時事
私は年金生活となりすでに15年が経過していますが、なかなか年金だけで生活するのは難しいようです。

特に家計簿などつけていませんが、全ての生活費を決まった銀行口座から出していますので、この銀行の記録をエクセルにうつすと家計簿のように見ることができます。

2019年金融庁が公表した報告書を巡り「老後2000万円不足」問題が大きな話題となりました。さまざまなメディアが取りげたことで、年金不足と絡みいわゆる炎上状態の様相を呈していました。

この2000万円不足という金額の根拠は、総務省家計調査に記載の高齢夫婦無職世帯の家計収支がベースとなっています。2017年の毎月の実収入金額(20.9万円)と実出金額(26.4万円)を比較して、その差額(5.5万円)を毎月の赤字額と捉えて、金融資産から30年で約1963万円を取り崩すことが必要になるというものでした。

しかしこの試算にはいろいろと問題があります。この平均支出額は、2017年の高齢夫婦無職世帯は平均すると月26.4万円使うことができる収入と蓄えがあるという事を意味しているだけです。

多くの資産を持つ世帯が非常に多くの支出を行うと、平均値は世間一般的な値から大きく引き上げられてしまうでしょう。貯蓄額の調査では、高齢夫婦世帯は平均2484万円の貯蓄を有しています。

したがって平均21万円の収入と2400万円の貯蓄のある世帯が、1か月で平均26.4万円を支出している、という事を表わしているにすぎないのです。こうした数字の捉え方を誤ると、思わぬ落とし穴にはまり込む可能性があります。

例えば全く同様の方法で2020年の家計調査データを用いて計算すると、実収入額25万7763円に対して実支出額は25万9304円であり、毎月1541円の赤字、30年間では55万円の不足となります。

つまり「老後2000万円不足」問題は、わずか3年で「老後55万円不足」問題へと変わっているのです。もちろん2020年は多くの特殊事情がありました。実収入では、すべての国民を対象として特別定額給付金が支給されています。

また実支出では、直接税などの非消費支出が増加した一方、消費支出は前年比で5.3%減少していました。特に新型コロナの感染拡大防止のため外出自粛が要請された中で、外食費(36.6%減)や宿泊費(54.3%減)、パック旅行費(69.1%減)などは、家計支出を減少させる大きな要因となりました。

他方2021年の家計収支のペースだと、貯蓄額2488万円に対して、30年間で取り崩す額は796万円になります。2015年にはこの差があまりなく、30年間で貯蓄を使い切る家計収支でした。

この様に私もよくわからない数字が並んでしまいましたが、ある年の平均を見ていくことはあまり意味がないという事かもしれません。

こういった指標では平均値を使っていますが、中央値や最頻値を使った方が実際と近い数値になるのかもしれません。この辺りが統計の難しさでしょう。


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