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脳の学習の仕組みを説いた「ヘップの法則」の先見性

2023-08-27 10:33:07 | 自然
近年脳科学は飛躍的に発展し、「記憶」や「学習」の仕組みはほぼ解明され、最も難しいとされる「意識」の問題が残っているだけという説もあります。

脳は多くのニューロン(神経細胞)が集まってできており、遺伝情報を収納している核を含む細胞体や他のニューロンからシグナルを受け取る樹状突起などいくつかの部位に分かれています。

なかでも他のニューロンにシグナルを伝える部位を軸索といい、その先端部分を軸索終末、他のニューロン接合部をシナプスと呼んでいます。

ヘップの法則とは「シナプスに結合しているニューロン同士が同時に発火するたびに情報伝達の効率が上がっていき、逆に長い間発火しなければ伝達効率が落ちる」という仮説に基づいた、学習や長期記憶についての基礎的な法則です。

この学説が注目をあ浴びるのは、発表されて20年以上たってからでした。その有効性は多くの研究結果から確認されており、今では神経科学におけるもっとも重要な法則のひとつと考えられています。

神経線維はいくつものリレーをして遠くまで信号を伝達しています。この神経線維のつなぎ目、あるいは神経線維と筋肉のつなぎ目は何が起こっているのでしょうか。神経線維同士の接点のことをシナプス、神経線維と筋肉の接点は神経筋接合部と呼ばれています。

つなぎ目にはシナプス間隙と呼ばれる隙間があり、およそ20〜40ナノメートルと、肉眼では見分けがつかないほどの微小な空間が存在しています。このおかげで電気的には隔てられているので、活動電位はここから先に伝わることはできません。

電気信号が神経の末端までくると、それを一旦化学信号に変換してから次のニューロンあるいは筋肉へと情報を伝達するといった面倒なことを行っています。

神経線維の終点にはシナプス小胞と呼ばれる化学物質が詰まった小胞が存在していて、活動電位が軸索の上を伝播してくると、小胞が神経線維の終末の細胞膜に融合し、シナプスの隙間に化学物質を放出します。

この化学物質のことを神経伝達物質と呼び、代表的なものとしてグルタミン酸やGABAが知られています。電気信号を化学物質に変換するのは効率が悪いように見えますが、この仕組みによって情報の「質」を変えることができるというのがポイントです。

情報伝達物質には様々な種類があるため、記憶や学習、喜怒哀楽などの複雑な脳の働きを可能にしているのです。

その他にもこの記憶や学習に関しては、複雑な仕組みが解明されていますが、基本的には電気信号と化学物質を使い分けることで、シナプス間隙においてドラマチックな現象が展開されていることが分かってきました。

今後記憶から意識に関することがどこまで解明されるのか興味深い点といえるようです。


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