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「ハダカデバネズミ」の脅威の長寿力の秘密

2023-12-03 10:38:59 | 自然
私はまだ本物を見たことがないのですが、ハダカデバネズミというアフリカのサバンナに住むネズミは、非常に寿命が長いことで知られています。

マウスの寿命がせいぜい3年程度なのに対し、ハダカデバネズミは観測された最大寿命が37年以上と長寿です。ハダカデバネズミは、ガンを始め老化に関連する疾患が起こりにくいことが知られており、突然変異の蓄積率も低いことが分かっています。

熊本大学の研究グループは、発ガン性化学物質をマウスとハダカデバネズミに投与して、ガンの発生頻度や組織の状態を比較検討しました。その結果マウスは半年以内にほぼ全例がガンを発症したのに対し、ハダカデバネズミは2年以上の長期にわたって1例もガンの発生がみられませんでした。

両者の大きな違いは、化学物質を投与した部位での炎症で、マウスに比べてハダカデバネズミでは炎症が低く抑えられていることが分かりました。研究グループは、ハダカデバネズミの遺伝子を調べ、炎症のトリガーとなる「細胞死」を起こす遺伝子が機能を失っていることを突き止めました。

つまり過剰な炎症がガンの発生を促進したり、寿命を短くしていると考えられます。ヒトの身体には免疫の監視機能があります。

ガン細胞だけでなく老化細胞も、キラーT細胞やナチュラルキラー細胞(NK細胞)といった免疫細胞に検知されていて、大きくならないうちに殺処分され排除されていると考えられます。この殺処分機能を弱めると、さまざまな臓器に老化細胞が蓄積し寿命が短くなります。

老化細胞は老化抗原を提示しており、それをキラーT細胞が認識し攻撃します。さらに老化細胞はある種の炎症性サイトカインを分泌することが知られています。老化細胞はNK細胞を活性化する因子も出しており、NK細胞によっても排除されることが報告されています。

ウイルス感染を起こした細胞と同じで、老化細胞も異物として免疫によって排除されるのです。加齢によって免疫系が不全に陥ると、老化細胞が蓄積しそれが臓器の老化、機能不全を誘導し、結果的に個体の死につながると考えられます。

また老化の指標であるp16というタンパク質を発現している老化細胞の一部がPD-L1を発現しています。PD-L1はブレーキ分子であるPD-1のスイッチを入れてT細胞の活性化を抑える分子です。

老化したキラーT細胞はPD-1を強く発現しており、老化したキラーT細胞は、効率よく老化細胞を殺処分できないのではないかと考えられます。

老化細胞除去についていろいろ見てきましたが、ヒトの身体は老化細胞除去には優れた機構があるのですが、結局加齢によってこういったメカニズムが働かなくなることが、老化の原因と言えるようです。


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