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腎機能低下は認知機能にも影響する

2021-03-03 11:17:08 | 健康・医療
認知症は現在400万人以上が発症しており、高齢化に伴ってますます増加してくると推定されています。

認知症の治療薬は世界各国で開発が進められていますが、臨床試験でつまずく例が多いような気がします。若いうちに腎臓の機能が低下した人は、認知機能が低下するリスクが高いことを示唆する研究結果が日経グッデイに掲載されていました。

これまでも人工透析や腎移植が必要になる末期腎不全患者には、認知機能の低下が多く認められ、末期腎不全患者の認知機能低下リスクは同年代の人に比べ約3倍になるといわれています。

加齢と共に腎機能は低下しますが、その速度は人によって異なり、その後の認知機能に及ぼす影響はあまり明らかになっていませんでした。

アメリカノースウエスタン大学などの研究チームは、26歳から44歳までの成人を20年間(登録から30年間)追跡し、腎機能と認知機能の関係を検討しました。

参加者は登録から10年目の受診時点から5年ごとに、腎機能の指標である血清クレアチニン比と、尿たんぱく量の指標である尿中アルブミン/クレアチニン比の測定を受けていました。研究チームはこの値を利用して、老廃物を尿に排出する腎臓の能力を示す、推算糸球体ろ過量(eGFR)を算出しました。

さらに30年後の時点で、詳細は省略しますが参加者は幅広い認知機能の評価を行いました。研究チームはそれぞれの検査のスコアを求めるとともに、それらを総合したスコアも算出しました。

今回の分析には条件を満たした2604人(26〜44歳、平均年齢35歳、54%が女性、45%が黒人)のデータを使っています。これをガイドラインに基づき腎機能の程度によって細かく分類していますが、当然低リスクの人が2508人と大部分を占めていました。

これが30年後には低リスク2347人と減り、中程度196人、高リスク37人で24人は末期腎不全リスクが非常に高いとみなされました。

これを年齢、性別、人種、学歴、BMIその他の要因を考慮して分析したところ、腎機能の低下を経験していた人の認知機能低下のリスクは、そうでない人と比べ高いことが明らかになりました。

いろいろ詳細なデータが出ていますが、こういった研究の難しいところは、認知症の評価がなかなか数値化できないところのようです。それでも腎臓の機能低下と認知機能には相関があることは確かなようです。

若い内から腎臓の機能に目を向け、低下を防ぐことによってその後の認知機能の低下を回避できる可能性を示すものと言えます。

この腎機能の低下による認知症発症が全体のどの程度の割合を占めるのかは分かりませんが、認知症予防研究としては面白い結果のような気もします。


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