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新薬の登場で腎臓治療が激変、透析の必要なし

2023-12-25 10:38:44 | 健康・医療
私の知人も透析を受けていますが、1日おきに5時間も拘束されるというのは、日常生活に大きな影響が出るようです。

近年2型糖尿病の治療薬であるSGLT2阻害薬の登場で、腎臓治療が大きく変わりました。腎機能の悪化をかなり抑制でき、この薬を飲んでいると透析になる割合が少ないことが証明されています。

2023年改訂の「エビデンスに基づくCKD(慢性腎臓病)診療ガイドライン」でSGLT2阻害薬の投与は「1A」と最も強いレベルで推奨されました。従来のGLP-1受容体作動薬は腎臓の血管内皮細胞を保護し、タンパク尿を減らす効果があるとされています。

しかし透析を減らすかどうかのデータはまだありません。ところがSGLT2阻害薬は、透析を減らせることが明らかになっています。その意味ではSGLT2阻害薬は腎臓病治療の歴史を変えたといっていいようです。

この薬は2014年から日本で使われるようになった糖尿病の治療薬です。腎臓の近位尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑えて、尿から糖を排出することで血糖を下げます。インスリンを分泌する膵臓に直接働きかける薬とは異なるため、低血糖にはなりにくいとされています。

インスリン分泌促進によらない新しい作用機序を持つこの薬は、持続高血糖による破壊性が解消され、インスリン抵抗性が改善されるため膵臓β細胞の温存が期待でき、体重減少や脂肪肝改善、血圧低下、脂質代謝改善などの効果があることが分かっています。

その後様々な大規模臨床試験で心血管イベントのリスクの高い患者にはそのリスクを抑制する働きがあることが分かり、腎臓保護作用があることも分かったのです。またある試験では、タンパク尿だけではなく透析も減らすことを明らかにしたのです。

腎臓は血液をろ過して尿を作り出す臓器で、腎小体と呼ばれるろ過装置があり、その腎小体は主に糸球体と呼ばれる小さな穴が開いた微細な血管の塊でできています。

穴から血液中の水分や老廃物が漏れて尿細管に流れ込み、尿細管はその中にある必要なもののみを再吸収し、不要なものだけを尿として排出しています。歳をとるとこの糸球体の数が減っていきます。

ここではSGLT2阻害薬のメカニズムを解説していますが、かなり専門的になりますので割愛しますが、一言で言えば糸球体の減少を防ぐ効果があるようです。

これまで臓器の機能が衰えると、それを回復させる薬はありませんでしたが、このSGLT2阻害薬は腎機能を回復させるという画期的なクスリと言えるようです。このクスリによって透析を遅らせることができれば、大きな改善が期待できるといえるかもしれません。


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