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マラリアの重症化メカニズムを解明

2017-12-17 10:08:48 | 健康・医療
大阪大学の研究チームが、マラリアが重症化する仕組みを解明したと発表しました。

感染すると、患者の赤血球の表面に特定のタンパク質ができ、体内の免疫の働きを抑えてしまうようで、この発見でワクチンの開発につながる可能性があるといいます。

マラリアは日本では海外の旅行者が帰国して発症する程度で、年間数十人ぐらいでほとんど問題になっていませんが、世界では100か国以上で広がっており、最も死亡者数の多い感染症とされています。大部分はサハラ以南のアフリカにおける小児ですが、罹患者数は年間3~5億人とされ、150~270万人の死亡者があるとされています。

アフリカだけでなく、東南・南アジア、オセアニア、中南米と多くの国で発症しています。ヒトに感染するのは熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形マラリア原虫の4種類の原虫です。いずれもハマダラカによって媒介され、蚊に刺されて感染します。

一般に熱帯熱マラリア以外の経過は良好ですが、熱帯熱マラリアはアフリカからのマラリア輸入症例の8割を占め、悪性で死亡例が非常に多くなっています。マラリアに対しては、有効なワクチンはなく、同じ人が何度も感染するため、マラリア原虫には免疫の働きから逃れる性質があると考えられてきました。

研究チームは、重症化を引き起こす「熱帯熱マラリア原虫」に感染した赤血球にできる様々なタンパク質に着目しました。このうち「リフィン」というタンパク質が、免疫細胞にある受容体に結合して、免疫細胞からの攻撃にブレーキをかけていることを確認しました。

この赤血球表面のリフィンが、攻撃しようとする免疫細胞の受容体に結合すると、免疫細胞の攻撃力が抑えられてしまうようです。

マラリアの治療薬は古くから知られており、最も古いものがクコの木の成分であるキニーネです。これはマラリアに感染した患者をクコの木の下に寝かせておくとよくなるといわれるほどの特効薬となっていました。しかし天然物であるためどうしても高価となりましたが、現在は新しい薬剤が開発されています。

しかし最も有効な方法は蚊の駆除で、スリランカでは国を挙げての駆除作業により、マラリア感染を大幅に減らしたという実績もあるようです。しかし地域によってはこれが難しいのが現状のようです。今回の研究成果を受けて、リフィンと受容体の結合を防ぐ方法が分かれば、ワクチンや治療薬の開発につながると期待されています。

しかしマラリアの問題は医療というよりも、政治の問題のような気もしています。

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