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長寿の切り札となる「オートファジー」

2021-07-05 10:16:15 | 健康・医療
近年老化の研究が盛んに行われ、抗老化のメカニズムなどをこのブログでもいくつか紹介してきました。

2016年ノーベル賞を受賞した「オートファジー」も長寿の切り札となるという記事がありました。オートファジーは、細胞が内部の物質を分解して再利用する現象ですが、近年の研究で老化や病気に深く関わることが分かってきました。

オートファジーはギリシャ語のファジー(食べる)とオート(自ら)を組み合わせた造語ですが、このメカニズムは意外とシンプルです。

人間の細胞内に膜が出現して、細胞内にあるタンパク質などを包み込んで球状のオートファゴソームを作ります。これにたくさんの分解酵素が入ったリソソームという袋が接触し融合することで、中身のタンパク質などが分解されます。

これによりオートファゴソーム内の有害物質が除去されるとともに、タンパク質がアミノ酸まで一度分解され、体内で新しいタンパク質として再合成されます。

オートファジーは日常的に起こっており、体重60キロの成人男性の場合、1日に約240グラムのタンパク質が体内からオートファジーによって分解・再合成されるようです。

2019年に「ルビコン」と呼ばれるオートファジーのブレーキ役となるタンパク質が、加齢とともに増加することが発見されました。これによりルビコンをコントロールすることで、老化を止められる可能性が出てきました。

ルビコンの抑制によって寿命を延ばす効果は、動物実験では確かめられています。遺伝子操作によりルビコンの働きを抑えた「線虫」を観察したところ、オートファジーの活性化が認められ、寿命が20%伸びたようです。

この線虫が動物のモデルになるかは別にして、老いても活発に動き続けていたため健康寿命も延びたと考えられます。オートファジーが活発であれば、細胞内に侵入してきた病原体を殺す作用があり、ウイルスに対する抗体を作る際にも必要になります。

実験では老化した人のオートファジーを活性化すると、抗体を作る能力が回復することが報告されています。その他認知症の予防にも役立つ可能性があります。アミロイドβの塊を作る際に選択的オートファジーが起こり、正常な状態に戻すとすることも分かっているようです。

オートファジーを活性化させる方法も明らかになりつつあり、カギを握るのが「スペルミジン」というタンパク質合成を助けるポリアミンです。発酵食品に豊富に含まれており、納豆や熟成したチーズに多いそうです。

スペルミジンは体内でも合成される物質ですが、加齢とともに作られる量が減少します。その他運動による活性化なども述べられていますが、適度な運動をして伝統的な和食を取ることが活性化になるようです。

日本が長寿国になっているのは、普段からオートファジーを活性化しているためかもしれません。


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