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脂質異常症の薬は筋肉を溶かす

2020-06-19 10:28:08 | 
糖尿病の主な治療目的は、動脈硬化の進行を抑えることで、その手段として血糖値をコントロールする必要があります。

さらに動脈硬化に関係している脂質異常症や高血圧の治療も必要不可欠になります。

この脂質異常症の薬に、筋肉を溶かすという重篤な副作用があるようです。脂質異常症の薬には「スタチン系製剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)「フィブラート系製剤」「その他」があり、スタチン系とフィブラート系が処方薬の9割を占めています。

スタチン系製剤は肝臓や小腸でコレステロールの生合成を阻害してコレステロールの値を下げる薬で、フィブラート系製剤は中性脂質の合成を抑制する薬です。LDLコレステロールが高い人にはスタチン系製剤が、中性脂肪が高い人にはフィブリン系製剤が処方されます。

どの薬にも副作用があるものの、脂質異常症の薬には副作用の印象が強いようです。重篤なものでは、スタチン系製剤では肝機能障害や血小板減少、末梢神経障害などがあります。フィブラート系製剤では、アナフラキシー様症状があげられます。

さらにスタチン系、フィブラート系のどちらの薬にも共通する副作用として、横紋筋融解症があります。この辺りは全く知りませんでしたが、服用している患者はこの副作用を気にする人が多いようです。

横紋筋融解症とは、筋肉が変性・壊死を起こして壊れた筋肉の細胞が血液中に流出し、筋肉中のタンパク質が尿とともに排出される病態です。放置するとタンパク質が腎臓で詰まって腎不全となり、死に至ることもあります。

この副作用が生じると、手足・肩・腰その他の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力が入らない、こわばる、全身がだるい、尿の色が赤褐色になるなどの症状が出ます。

米国の調査では、スタチン系製剤の服用者のうち、筋肉痛は2〜7%で生じ、横紋筋融解症が疑われるときに見られるクレアチンキナーゼ上昇は0.1〜1%で認められています。命に係わる重篤な筋障害は0.08%程度となっています。

このようにスタチン系やフィブラート系で命に係わるほどの横紋筋融解症を起こすという事は「ほぼない」といっても良いほどごく稀と言えます。

ただしこのスタチン系製剤は、海外も含めて数百万人が服用していますので、それなりの患者が発生していると考えられます。医師は動脈硬化が進行すれば、脳卒中や心筋梗塞のリスクが大きくなるとして服用を進めます。

特にこういった病気は治療が遅れれば死に至る病気ですし、命が助かったにせよ深刻な後遺症を抱えることもあります。

病気のリスクを怖いと感じるか、薬のわずかとはいえ重篤な副作用を気にするのか、薬を服用するかどうかはよく考える必要がありそうです。


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