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ダーウィンと異なる今西進化論

2021-07-27 10:26:10 | 自然
現在ではダーウィンの進化論は広く認められていますが、これに対抗するものして今西進化論というものがあるという記事を読みました。

これは日本の生態学者である今西錦司が提唱したもので、平和で主体的な進化論と言われているようです。この今西氏は京都大学の霊長類研究所を開設した人として有名ですが、独特の進化論を持っていたようです。

この進化論の中にある「平均への回帰」と呼ばれる現象があります。一般には父親の身長が高いと、息子の身長も高い傾向があります。しかし身長が非常に高い父親の息子は、それほど身長が高くない傾向があるとしています。

同様に身長が非常に低い父親の息子は、それほど身長が低くない傾向があるようで、これを平均への回帰と呼んでいます。

またオリンピックの出場選手の選考でも、最終選考会で成績が良かった選手を選ぶと、本番のオリンピックでは成績が延びない傾向があるようです。本当にこれも「平均への回帰」という現象なのか怪し気もしますし、この二つの例がどうつながるかも難しそうです。

平均への回帰は色々な場面で起きますが、進化に関係するのは遺伝に関して平均の回帰が起こる場合です。この場合遺伝率が100%ではないために生じるとしています。

最初の例である背の高さで言いますと、背丈が完全に遺伝する(遺伝率100%)場合は、背の高い親からは必ず背の高い子供が生まれ、背の低い親からは必ず背の低い子供が生まれます。背丈が完全に環境に左右される(遺伝率0%)場合を考えると、当然何の傾向もないことになります。

実際の遺伝率はさまざまで、親と子の表現型の値(例えば身長)をたくさん測定することによって遺伝率が計算できます。しかしどの表現型を選ぶかによって、その値は0と100のあいだの色々な値を取ることが知られています。

生物の表現型は、遺伝と環境によって決まりますが、その平均からのばらつきを「分散」と言います。この分散を式を用いて説明していますが、そういった計算式からも遺伝率はさまざまな値を取ることが証明されています。

ところがこの今西進化論では、遺伝率が100%でなければ、遺伝の影響がない(遺伝率0%)というのが根本にあるようです。遺伝率が0%だと変異は遺伝しませんので、自然淘汰は働かないということが基本のようです。

どうも最後まで読んでみましたが、今西進化論がどういうものかはよく分かりませんでした。他の情報も調べてみましたが、いわば哲学的要素が多く精神論的な感じもしました。

それでも日本人が自然淘汰を否定する説を提唱していたというのは、なかなか面白いことのような気がします。


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