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「酒は飲むほど強くなる」は都市伝説か

2021-07-28 10:24:11 | その他
私は風呂から出ると寝酒代わりに軽く飲むのを習慣にしていますが、若いころはほとんど酒が飲めませんでした。

缶ビール1本で真っ赤になり、心臓がドキドキしそれ以上飲む気にもなりませんでした。研究所まで車で通勤していましたので、飲む機会も少なく私自身もそれほど酒が好きではありませんでした。

それが40代になり、いわゆる接待で飲む機会が増えてきました。多分このため徐々に飲めるようになり、50代にはビールならジョッキ数杯ぐらいまで飲むこともありました。するとだんだん酒が好きになり、現在に至るわけです。

最近ネットにタイトルのような「酒は飲むほど強くなる」は単なる都市伝説であるという記事が出ていました。私はこれに納得していないのですが紹介します。

酒を飲むとアルコール(エタノール)は小腸から吸収され、主に肝臓で分解されます。酒に強いかどうかは、この肝臓で分解されるスピードが速いかどうかに大きく左右されます。

アルコールの分解には体内の色々な代謝酵素が関わっていますが、主にエタノールはアルコールデヒドロゲナーゼ(脱水素酵素、ALDH)でアセトアルデヒドに代謝され、最後はアルデヒド脱水素酵素によって酢酸になります。

こういった酵素の「強さ」は基本的に遺伝によって決まるため、酒を飲む習慣や一時的に酒をたくさん飲む訓練などによって変わるものではないとしています。しかしこのALDHという酵素は、「誘導酵素」という性質を持っています。

通常生体内酵素は、それが反応する物質(基質と言います)が来たとき合成されますが、これは基質の量によらず一定の量が作られます。ところがこの基質が増えると酵素の生産量も増える酵素があり、これを誘導酵素と呼んでいます。

ALDHは確かに遺伝子的にほとんどない人もいますが、酒を多く飲めばだんだん生産される量が増えてくるわけです。また2番目の酢酸を作る酵素は誘導酵素ではありませんが、アセトアルデヒドは人体にとってかなり毒性の高い物質ですので、作られるとすぐに酸化されます。

アルデヒドという物質自体が非常に酸化されやすい性質を持っていますので、この段階が遅いということはまずないと思われます。この段階が遅い人はアルデヒドが蓄積するため、あまり酔うことがなく顔が赤くなったり動悸がしたりと不快な症状がすぐに表れるようです。

日本人の75%はALDHが遅いタイプで、25%が次の酸化が遅いタイプで、両方速い欧米人とは大きく異なっているようです。日本人の進化の歴史上、遅いタイプが有利に働いて、遅いタイプを持つ人が徐々に増えてきたという研究結果も発表されています。

こういった情報はあるのですが、私は「酒は飲むほど強くなる」に1票という感じです。



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