ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

新型コロナよりも怖い「治療延期」

2020-08-20 10:26:32 | 時事
感染の報告がなかった岩手県でも発生が報告されるなど、新型コロナ感染症の新規感染者数が全国で急増しています。

ここで問題となっているのが、医療機関の治療延期といわれています。実際日本医学学会加盟学会の情報発信からは、重症化率や死亡率において一般的な数字とは異なる状況が見て取れます。

日本透析医学会が透析施設での新型コロナ感染症の状況を報告していますが、新型コロナに罹った透析患者の死亡率が15.5%というデータになっています。国内感染者の死亡率3.0%と比べると5倍を超えることになります。

今回発表された同学会のまとめによると、5月22日以降は毎週5人ほどの感染者が報告されており、7月31日までの累積感染者は142人でした。日本全体からすれば感染者は少ないものの、死亡者数が22人も出ており、感染後の状況が分からない転帰不明も60人に達しています。

透析施設での感染を防ぐ対策を強化するよう促していますが、全国で透析患者は約34万人おり、定期的に受けなければ命に関わる治療です。これが中断することのないよう現場の取り組みに期待されています。

実際医療現場では既に治療中止や延期の影響が深刻化しているようです。日本外科学会を始めとする外科系の学会も声明を出していますが、3月下旬以降の3か月間に、国内の手術が約140万件も中止や延期になるという見通しを示しています。

359病院を対象にした調査において、報告されたもので全体の73%の手術が中止や延期になると推定しています。詳しく見ると、ガンの手術は約9万8000件が影響を受け、キャンセル率は30%に達しています。

命に直結しないことの多い良性疾患に至っては、約125万3000件が影響を受け、84%がキャンセルされるという衝撃的な内容です。また別なアンケートでは、477施設の状況がまとめられ、新型コロナにより胃や腸、肝臓、膵臓などの手術に影響が顕著に出ていました。

具体的には、手術制限があったのは66.7%の施設で、その理由は「市中感染の蔓延に備えて」というものでした。ハイリスクの患者を多く収容する医療機関として、重症化のリスクを避けるための苦渋の選択だったとしています。

これを見ても新型コロナがガン医療の基盤を揺るがしたという現実が浮き彫りになります。同様な調査は他の学会でも進めており、外科手術に限らず様々な治療に影響が及んでいるとみられます。

例えば日本骨粗しょう症学会などは、骨粗しょう症の治療継続が困難な状況にあると指摘し、運動量を維持するよう推奨したり、治療中止による薬剤の効果の消失に言及しています。

この対処として各学会はデータ収集システムの構築と活用などを進めていますが、現在のコロナ禍は医療全体に大きな圧力をかけていることは確かなようです。

まぶたは心と体の異変の鏡

2020-08-19 10:33:05 | 健康・医療
まぶたは心と体の異変を映し出す鏡といわれています。

ピクピクしたり目が開けづらかったりするのは、脳神経に原因があることもあるようです。むくみや黒ずみは腎臓の不調や薬の副作用かもしれません。

まぶたは目を乾燥や異物の侵入から守る「目の蓋」としての役割を果たすとともに、顔の表情を作り出しています。さらにまぶたの異変は全身や脳の状態をも表しているという指摘もあります。

例えばまぶたの腫れが続くときは、甲状腺の病気のサインで、黒ずんだり白くなったりするのは皮膚病、薬の副作用、貧血のこともあります。

疲れたときやストレスを感じたときにピクピク動くのは、疲労によって筋肉が勝手に動いてしまう「眼瞼ミオキミア」で、多くの人が経験し自然と治ることが多いようです。症状が頬や口元などに広がる場合は、「片側顔面けいれん」の可能性があります。

顔の表情筋を動かす神経が血管に圧迫されて起こる病気で、自然に治ることは少ないといわれています。症状の程度や年齢に応じて、薬物治療(ポトックス注射)や手術治療が行われます。自然とまぶたを閉じてしまう、目を開けにくいなどの運動障害は「眼瞼痙攣」が考えられます。

目を開け閉めする脳のスイッチが壊れた状態です。発作的に目をつぶるため、ものにぶつかったり自動車事故を起こしたりすることもあります。眼瞼痙攣が軽症や中程度の場合、運動障害としてではなく「まぶしさ」「痛み」などの感覚過敏の症状ととらえて、ドライアイ、眼精疲労などと診断されるケースも多くなります。

こうした例を含めると患者数は10数万人と推定されています。眼瞼痙攣は自分の意思にかかわらず動くので、医療機関で改めてまばたき検査(瞬目テスト)を受けることで区別できます。眼瞼痙攣では抑うつなどの精神症状を伴うことも多いようです。

不安や不眠の治療に用いられる薬剤の長期服用が、眼瞼痙攣の原因になりやすいとの指摘もあります。仕事や日常生活で支障が生じる場合は、治療が必要になり、ポトックス注射が有効で保険適用となります。

長年ドライアイや眼精疲労で悩んでいた患者が神経眼科の瞬目テストで眼瞼痙攣と診断され、適切な治療や服用薬の見直しで改善することも多いようです。

その他いつも眠そうに見える、視野の上部が欠けてものにぶつかる、といった症状を訴える「眼瞼下垂」などもあります。これは簡単な手術で治るようですが、高齢者に出やすい病気といわれています。

こういったやや重度の病気以外にも、まぶたは色々な症状を表すことが多いので、何かおかしいと感じたときは専門外来に行く必要があるようです。

老化の引き金は本当に「糖化」か

2020-08-18 10:26:18 | 健康・医療
糖化は酸化と並んで、体の老化や病気をもたらす要因のひとつとされています。

コロナ禍で炭水化物や糖質を摂りすぎている人や、運動不足の人は糖化による悪影響が出始めている危険性があるようです。

糖化とはタンパク質(アミノ酸)がブドウ糖(グルコース)と結びつく現象のことです。私はこの糖化ということにいろいろ疑問を持っています。

まず「糖化」を辞書で引けば、「デンプンやセルロースを酸または酵素で分解しオリゴ糖やグルコースに分解すること」と出ているはずで、いつからアミンに糖が結合することを指すようになったのかよく分かりません。

またアミンと糖の反応については、アミノカルボニル反応とかメイラード反応として高校の教科書にも出てくる反応ですが、これは必ず熱が必要であり高分子化を伴うものです。よくホットケーキの良い色が例として出ますが、加熱調理しなければ決してあの焦げ色は出てきません。

これは酵素反応ではなく純粋な化学反応ですが、生体内で熱の代わりに何が使われているのかもよく分かりません。いつの間にか糖化が生体内で普通に生じ、終末糖化産物(AGE)などという言葉までできて悪者になってしまったのかもよく分かりません。

最近このAGEはよく出てきますが、どんな構造のものを指すのかも明らかになっていないような気がします。そういった糖化ですが、疑問はあるものの否定するだけの根拠もありませんので、そんなこともあるだろうと考えています。

さてこの糖化の影響で起こる最たるものが、糖尿病の合併症とされています。血液中の余った糖が体内のタンパク質やアミノ酸とくっついて糖化し、細い血管を痛めてしまいます。その結果、目や腎臓、足などに重い合併症をもたらすとされています。

厚生労働省の調査(2017年患者調査の概況)によると、糖尿病の患者数は過去最多の約329万人で、予備軍は1千万人といわれています。この人たちが今まさに糖化問題にさらされているのです。

糖化が起こりやすい環境として指摘されているのが食後血糖値です。食事をとった後に血糖値が急上昇する状態のことで、「血糖値スパイク」とも呼ばれています。この状態が繰り返されると、免疫細胞の活性が低下して、免疫力が下がってしまうとしています。

身体にあるすべての組織や器官の細胞は血糖値が70〜140の範囲で最高のパフォーマンスが発揮されるよう設計されています。これを超えると糖化が生じ老化の引き金になるとされています。

しかし化学的には、37℃の水中でアミノ酸やタンパク質とグルコースを混ぜていても何も生じないと思います。

生体内、特に血液中には非常に多くの物質が含まれていますので、何か触媒するようなことがあるのかもしれませんが、この「糖化」というのはあまり納得できない反応のような気がします。

「フェロモン」とは何か

2020-08-17 10:25:36 | 自然
ほぼすべての脊椎動物に共通するフェロモン受容体ファミリーに属する遺伝子を発見という、研究成果を東京工業大学の研究グループが発表したのは、2018年のことでした。

すべての生物は、自分を取り巻く外界からさまざまな情報を受け取り、それによりどのような行動をとるかが変わってきます。

情報として受け取っているシグナルは大きく2つあり、ひとつは化学物質で、それを頼りに情報を受容する味覚や嗅覚は化学感覚と呼ばれています。もうひとつが光、音、熱、圧力などの物理的なシグナルで、その情報を受容しているのが視覚、聴覚、触覚などの物理感覚です。

フェロモンは化学物質ですが、一般的には「色気」や「性的魅力」とほとんど同じような意味で「フェロモン」という言葉が使われています。これはフェロモンの主な研究が、性フェロモンであったため、フェロモンは異性を惹きつけるというイメージが浸透したのかもしれません。

世界で初めて確認されたフェロモンは、カイコ由来のボンビコールでした。これはメスのカイコが産生し放出すると、これを受容したオスのカイコは放出源であるメスに近づき交尾姿勢を取ります。

実際には他にも様々なフェロモンが見つかっており、アリなどの昆虫では「道しるべフェロモン」、仲間に危険を知らせる「警報フェロモン」や「集合フェロモン」「分散フェロモン」などが見つかっています。

フェロモンの定義は「ある動物個体が体の外に発し、同種の他の固体に受容され、特定の反応を引き起こす物質」とされており、相手は異性とは限らないのです。

哺乳類ではげっ歯類のフェロモンに関する知見が多く、特にマウスではフェロモンにより発情の促進、妊娠阻害、性周期の同調などが引き起こされます。一般にフェロモンを使う動物では、主に鼻腔の下部にある鋤鼻(じょび)器の神経細胞でフェロモンを感知しています。

その情報が脳に伝わると、受容したフェロモンに応じた行動が引き起こされます。フェロモンは代謝産物であるため、げっ歯類においても尿や汗などの分泌物から発見されることがほとんどでした。

ところが東京大学のグループは、オスのマウスの涙腺からフェロモンが出ていることを突き止めました。通称「涙フェロモン」と呼ばれるこのESP1という物質は、性フェロモンとして機能します。また分泌しているオスにも作用し、オスらしさをアップさせていました。

さてこのフェロモンはヒトではどうなのか、古くから探索する試みが行われてきましたが、今のところフェロモンと確定された物質はありません。ヒトは言語というコミュニケーション手段が発達したため、フェロモンの必要がなくなったようです。

ヒトフェロモンがあると面白いような気がしますが、受容器官すらなくなっていますので無理なことなのかもしれません。

甲状腺機能亢進症の猫

2020-08-16 10:26:02 | 
家猫の14歳になるコブンが甲状腺機能亢進症になり、もう1年半ぐらい薬を飲み続けています。

コブンはやや白が多い茶トラ猫で、若い時はがっしりした体形でデブではないのですが6.3キロぐらいの猫でした。それが2年ほど前にからエサは食べているのに、体重が徐々に減っていったのです。

行動を見ていると元気そうで、体重が減るのは歳のせいかと思っていましたが、5キロ台になってしまい獣医さんに連れていきました。そこで診断されて出てきた病気が甲状腺機能亢進症でした。

それからメルカゾールといういう薬の4分の1錠を朝晩飲ませることが続いています。2,3か月に1回獣医さんに行き血液検査でマーカーとなるサイロキシン(T4)の値を測定して、薬の増減を調整しています。

ここでは猫の甲状腺機能亢進症について書いてみます。この病気の初期症状として、行動が活発になったり、食欲が増すが痩せていくといった一見病気のサインとは考えにくい症状が現れる病気です。

見過ごされることも多いのですが、10歳以上の猫を調べると10%以上はこの病気を持っているという調査報告もあります。甲状腺機能亢進症は、その名の通り甲状腺の機能が亢進つまり活発化してしまう病気です。

甲状腺は身体の代謝を活発にするホルモンを分泌していて、この病気になるとこのホルモンの分泌が増加します。そのため体の組織の代謝が亢進し、さまざまな症状が引き起こされます。

甲状腺は頸のあたりの甲状軟骨(ヒトではのどぼとけ)のすぐ下にある小さな組織で、左右1対あります。この病気は、片側または両側の甲状腺組織の過形成や腫瘍化などによって甲状腺が大きくなり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。

そのため活発になる、落ち着きが無くなる、食欲が増進する、やせていくなどの症状がみられます。興奮しやすくなることから、目もパッチリ開いていることが多く、鳴き声も大きな声となるようです。

甲状腺機能亢進症になり病気が進行すると、体力が低下し食欲も落ち、やせて嘔吐や下痢を繰り返します。この原因は甲状腺の細胞が異常に数を増やしてしまうことで起こります。甲状腺の腫瘍化が分かりやすい例ですが、多くは良性で悪性のものは2%未満といわれています。

この確定診断にはホルモン検査が必要で、血液検査で調べることができます。甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、猫では血液中のT4濃度を測定します。

家のコブンはこの値が12ぐらいあり(基準範囲2.0〜5.0)、すぐ薬を与えなんとか5前後に収まっています。しかし体重は減り続け、現在は4.2キロまで痩せてしまいました。前回の健診では心臓に雑音が混じり、心臓機能が落ちているようです。

甲状腺の摘出手術もあると聞いていますが、コブンの歳では難しく薬で抑えながら長生きしてくれることを祈るしかないようです。