二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡は良い音ですね、と今更ですが、、

2018-08-01 10:58:11 | ■工房便り 総合 
良い楽器の基本は、良い木でしょう。

最近オークションなどでこう購入した古い楽器を光舜堂に持ち込まれる方が増えています。

それも20年以上前のもの、

いかにもお土産二胡という感じの、べったりと黒く塗装された、今のものより少し小さめの楽器です。

弾いてみるととても良い音がします。

分解してみると、中身はチンチャンだったり、本紫檀だったり。

でも昔の家具は今より良い木をたっぷりと使っていたのが多いのです

以前にもありましたね、黄花梨。

今ほど二胡は良い木が必要と、いくら高くしてもお客は買うと、

そのように思われ、とんでもない値段をつけられた銘木が、20年以上前には、普通に使われていたのでしょう。

その辺の古い家具を壊して、まあ言ってみれば廃材、かなり安く買えたはずなのです。

ですからその当時二胡は1000元のものなど高級品でした。何しろ廃材ですから。

日本円にすると1万5千円くらいですかね。

500元だすとそこそこなる楽器が手に入ったのです。

皮はもちろん首のあたりの伸びやすい部分が多く、大変残念なのですが。

でも、たぶん、たぶんですよ、阿炳はこんな楽器を買ってきてあの二泉映月録音したのだと思うのです。

当時阿炳は録音依頼されたときに、二胡を持っておらず(たぶんそのお金は飲んでしまっていたのでしょう)

チョット楽器買ってくるといって二胡を買ってきて、あの曲を録音したのだそうです。

それも、絹弦ですよ。

そして弓もたぶん当時は黒毛の弓。

その辺の竹に黒い馬毛を縛り付けたようなものでしょうね。

最近でこそ黒毛は雑音が多いと使われませんが、

コントラバスの人たちは好んでカナダ産の黒毛を使うとも言われています。

松脂なんかほとんどいらないほど強い毛でそのまま弾けます。

二胡を始めて20年以上たつ人はもしかしたら、昔の弓ご存知かもしれませんね。

絹弦は、あの毛でないと鳴らないのかもしれません。

でもあの阿炳の演奏良いですね。

あの、弓を十分生かした、弦の弾みと伸びがとても活き活きとしています。

いつのころから今のまったりして、ちょっと重たい演奏になってしまったのか。

私は阿炳の演奏好きで、毎日のようにきいていたのです。

最近あんな感じに二胡を扱う人が減ってきたようで、なんだかヴァイオリンに近くなってしまったのかな?

まあ、東洋のヴァイオリンを目指して作られた今の二胡だからかもしれませんが。

なんとなく周りにいる演奏家たちが、「デカイ音」「広い音域」第5ポジションをガンガン弾ける人が多いせいでしょうか、

或いは、洋楽器と一緒に演奏する人が多くその要望もあったのか、

私の二胡つくりも、ヴァイオリンに対抗できるクリアの音のボリュームと広音域を目指してきたし、

たぶん実現できたと思うのですが、

このところある演奏家の二泉映月聞いて涙が出そうなほど感激したためか、

つくづく思ったのです。

「二胡は音色」

チョット方向転換というか、今の二胡に、さらに昔の二胡の良さを加算できるのか、????

これはまた、楽しい問題が見えてきました。

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