二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

価格破壊!

2025-03-04 12:11:58 | ■工房便り 総合 
楽器の購入というのは、初心者のころはともかく、さてこの一台を一生弾いていこうと考えた時には、その選択というのは大変悩ましいものです。
ヴァイオリンなどは都内に30カ所以上の販売店があり、それらを訪ねて試しびきが出来ます。
その時に選択の基準は金額でしょう。
自分の懐具合の中で最高に良いものが欲しい!
おなじ100万だとして、店によってかなりの違いも出てきます。
あとは相性!
ところが二胡の場合は金額が基準にならないのです。
なにしろ、小葉紫檀だからと言って、良い悪いは別にしてとにかく100万円。
同じレベルかなと思われる楽器が、金沢のNMLさんと都内の楽器屋さんでは倍以上違うのは当たりまえのようです。
ヴァイオリンなどでも、私の知っているヴァイオリンの制作者たちの作ったものは、30万円~50万円くらいでそれこそ、楽器店がこれはクレモナの作家の物でと300万円と販売しているのと似たレベルの物が、普通に販売されています。
ヴァイオリンの場合、材料費は安いです。
最高級のヴァイオリンの材料は日本で手に入れても、8万円くらいもあれば手に入れられます。
中国あたりで仕入れているものでも3万円くらいでしょう。
私はどうしても職人感覚が抜けないので、材料費を基に全ての制作費を考えてしまいます。
しかし楽器となると見た目だけではありません。
当然音の問題が出てきます。
そして販売店さんの費用と在庫の確保の費用と様々加算されてきてしまいます。
売れもしないものを仕入れ保存する費用ですね。
そこで、楽器にしろ卸業社を通して小売販売店にと流通の問題も出てきます。
それらがすべて加算されると、例えば3万円の材料費にしても、最終的に小売店での販売価格というのは100万円相当になると思います。
それ以上になるのはむしろ付加価値でしかないのです。
これはクレモナの著名な作家のヴァイオリンだからと、、、
若手だけれど、これは良く鳴るから150万などという事になりますね。

二胡の場合はもうこれは無茶苦茶です。
唯一基準と言えば、小葉紫檀であるということで、100万円というのが定着してしまったようです。(それでも光舜堂は入手した時の材料費が基準で65万前後、これもある意味価格破壊かもしれません)
そして光舜松脂!
これも普通の、流通、いわゆる卸、そして小売りというところに乗せれば、優に15000円を超えるものになります。
今発売されている松脂は皆同じ流通に乗っていますね。
そこで、光舜堂も発売するときに、知り合いのヴァイオリン系の卸業者さんと相談はしたのです。
すると、光舜松脂は今発売されている松脂の中で最高額になってしまったのです。
それもありますが、月に250ヶという生産量が必要とされ、これは無理!と直接の販売だけを考えたのです・
最初、ベルリンの高橋さんに送って試してもらう前には、6000円は高い!と言われていました。確かに、べスポーク以外で一番高い商品ですね。
ところが高橋さんに試してもらった以後は、これは10000円でも安い、2万でも良いくらいと大変な高評価をいただきましたが、、、
製造の都合を考えて、直接販売だけで行くことにしたのです。
(クロサワ楽器店さんはこのことも了承していただき大変光舜堂に楽な納品価格にしてもらっています)
お客様の中には金額が高いからべスポークの方が良いと思われているかたもいらっしゃるかもしれませんが、これは単に流通と製造の問題での金額の違いです。(何もかも燃料費も含み高騰してくるといずれは光舜松脂も金額を上げざるを得なくなるとはおもいますが)
価格破壊と言えば今考えているのは、ネオちゃんの制作の最初の二胡を何にするかという事です。
もうすぐ光舜堂15周年です。ネオちゃんも光舜堂に入って5年目になります。
この間何台も二胡をだめにして、(泣く!!)何台も蛇皮張り替えて、今では一人前の二胡師になりつつあります。
「それはありがたいですが、最初の物なので花梨で作れば私が作って15万円というのはどうですか、15周年記念だから」とネオちゃんは大変つつましく考えていますが、、、、
私は「どうせ作るなら、販売するなら小葉紫檀で作りなさい!」
「えぇ!材料費にもならないでしょう」
「いやいや、記念なら一番高級なものを使う方が良いよ」
折角の15周年記念、ほぉさんも納得してくれますよね、、たぶん

工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ

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