二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡物語、その15

2012-04-17 09:16:17 | ■工房便り 総合 
二胡で言うと、二胡が本格的に日本に入り始めて10余年経ちました。

ちょうど明治の初めに、バイオリンが入って来た時の感じかもしれませんし、奈良の時代に琵琶などが入って来た頃の感じかもしれませんね。

新しい楽器が再度日本に入って来たのです。

それも古くからの文明文化の輸出国からです。

当然二胡と共にそれに伴う文化も入ってきています。

しかし、入って来たのは中国的な楽器教育のシステムかと思いきやこれがそうでもないのです。

お茶や、琵琶の入って来た時代は多分そのままその周辺の文化も取り入れて来たのでしょうが、今回のこの二胡に関してはどうも様子が違います。

新しい楽器がという感じではないのです。

中国から来た二胡を、かなり自分達に合う物として取り入れています。バイオリンが日本に入って来た時とは二胡の浸透力というのは随分違うと思います。

その揺れる音が日本人に合うのでしょうか。

中国で作られた二胡の楽曲とは違う方向の音楽にも通じるからかも知れません。

日本の曲やヨーロッパの曲など、若い人たちはJポップや、ロックやジャズなど二胡で弾いたりします。

音楽そのものが、今はもう世界共通という感じですね。

それでも日本の曲というのはありますし二胡では日本の童謡なども弾かれます。

こたにじゅんさんはよく二胡で童謡を弾きますし、これがとっても良いのです。

以前程農化先生も、「あかとんぼ」を弾いて下さいました。

二胡は日本の曲に合うみたいですね。

中国民族楽器というよりも、むしろ元々の日本の楽器のようです。


以前、モントリオールで仕事をしたことが有ります。モントリオールはフランスの植民地でした。

仕事相手のジャックと、あるレストランで食事をしていた時に、そのジャックと、ウエイターとがチップのことで、もめていました。

と思ったらそれが、言葉の話のもめ事にいきなり変わったようです。

私はフランス語が判りませんから、後で聞いた話だと、ジャックは生まれがモントリオールです。そのもめ事を起こしていた相手は、フランスのパリから来たばかりです。

どうも食事の注文の時に、ジャックの言葉が、そのパリから来た人に通じなかったようなのです。それで、そのパリ人が、いまどきそんな言葉は田舎者が使うだけだとでも言ったようで、ャックにしてみれば、自分のフランス語こそ本来のフランス語であると主張したのだそうです。
そのパリ人にとってはもう使われなくなった200年ぐらい前の言葉だったようです。

ある言葉や風習が、本国よりもむしろそれが伝わって来た方に、古い物が残ると言うのは兎角あるようです。

日本の琵琶は古い形の物がそのまま残ったようですね。今の中国では既に形も違い、鳴りも音色も進化?して来ています。

雅楽も古い中国の王朝音楽であると言います。古いまま残ったようなのです。

日本にはそれに代わるような王朝音楽というのがなかったからでしょう。

反対に日本に来て更に発展し純化された物も有ります。

仏教です。

中国では唐の時代に、廃仏が行われそれ以後徐々に仏教が中国の文化の中から消えていきます。

消えていくというより、道教やより民族的な宗教に吸収されていきます。

日本では、平安時代に弘法大師空海や、最澄などによって中国からもたらされた仏教は、中国ではまだまとまりの無かった物が、一つの体系として、日本で作り上げられたりもしました。

現在まだそれほど時間がたったわけではありませんが、二胡がそのようになりつつあるようです。
中国では既に今までの形の二胡だけではなく、ジョージガオさんの人工皮の二胡やラッパ型の物、棹が洞の上に固定されている物、など、様々な変革を遂げようとしています。

又8角形にしても、中国では使う人がほとんどいなくなりつつあるにもかかわらず、日本では未だにうちの教室はコレということで8角形を販売し続けているところも有ります。

もちろんそれが悪いという話ではないですよ。
ただ、権威のある人がこれがホントの形であると、本土ではこうなっていますと言った時にそういうものかと、受け入れてしまうということはあります。

特に以前は二胡は、先生や一部の楽器屋さん以外からは入りにくかったことも有り、情報もその先生通しではありましたから、何につけても先生である以上その事を尊重して来たのだと思います。
当然のことにその先生のお考えというのが日本の中の二胡の常識として固定化されます。

今はまだその時代でしょう。

これから、日本人の、それもかなり若い人たちが、ちゃんと中国事情というのを踏まえて、次の世代の常識というのを作り上げるまでは、このままではないでしょうか。

モントリオールに古いフランス語が残ったのと同じことかもしれませんね。

言語は親から子に伝わります。その上あまり情報の入ってこなかった200年ぐらい前ですから、世代を越えてそのまま伝わったのでしょう。

今の時代は、もっと情報が早いです。

ですから200年もそのままということは無いとは思いますが。


Comment    この記事についてブログを書く
« 来週の木村さんのライブ(sol... | TOP | 4月15日(日)春はお別れの... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ■工房便り 総合