二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

F♯は、皮の音

2017-03-09 11:20:13 | ■工房便り 総合 
二胡の胴に蛇皮を張るときの、基準の音です。

またこの音に張れる皮が、良い皮とされます。

蛇皮は、水に濡らして、仮の胴に張り込んでいきます。

最初のうちは、あまり緊張した音にならず、ぼこぼこ言いますが、

濡らして、引っ張り乾かすという工程を、数回繰り返すうちに次第にこの音に近づいていきます。

4,5回目(皮の厚みにより回数が変わります)になると濡れて張ったばかりの音が、

この、F♯です。

ここから、乾いていくと、

大体、あるいは、Eくらいの音に収まります。

そうですね内弦の調弦に合うのです。

最初のうち内弦の音はすぐ弾きやすいし、違和感も無いのは、

皮の音がDだからかもしれません。

皆さん、少し弾き込まないと、外弦の特に高音は出ないというのはこの為もあるのでしょうか。

二胡を弾き込んでいくと、次第に皮が緩んでいき、Aの音に近づいていきます。

すると、外弦の音も出始めますし。

内弦の、低音感も増えていきます。

よく蛇皮は、鱗の大きいほうが良いという迷信、いまだに聞きます。

それを言う人に何故?と聞いても、答えは返ってきません。

念のため、先生に聞いてみたらいかがですか?

答えに困るでしょうね。

鱗の大きいということが、見栄えとして良いということなのかもしれません。

肝心なのは、鱗が均一に近いということでしょうね。

鱗と鱗の間があまり開いていないということも大切です。

鱗は硬いです。

蛇は地面を這っていますから、

そして鱗と鱗の間は、収縮するのです。

蛇はくねくねと動いていきますから、自在に曲がるためにも、うろこの間は柔らかくないといけません。

実は、この鱗と鱗の間が皮の音を生み出します。

ここが強くて、狭いものは、強い響きを生み出します。

ですからあまり蛇皮を引っ張りすぎて伸ばしてしまうと、振動の強さが失われます。

最近よく見かける、とても大きな鱗は、人為的に、伸ばしてしまっている物が多いようです。

その他は、見栄え重視で大鱗錦蛇というのもありますから、それかもしれませんが。

比較的鱗が大きいのは、低音が出てきません。

鱗と鱗の間が少なくなってしまうのです。

良く振動する部分が少ないですから、重低音という感じはなくなりますね。

ですから昔の二胡は、かなり低音の感じが良く出ていたのですが、

最近のは音は大きくとも、重量感はありません。

また、新しい二胡を叩いてみて、それがAの音に近いようでしたら、

その二胡は、完全に皮が張られていないと考えてもよいと思います。

皮が伸びてしまって、あるいは最初から緩い状態だと考えてください。

ただしお店の人が叩かせてくれるかどうかはわかりませんが。

これは亡くなった、名人からの伝言でした(直接ではありません)

名人の作った二胡の皮は、最近のものよりずーっと鱗が小さいですよね。



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