二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

良い二胡、良い楽器その6

2012-02-04 10:01:46 | ■工房便り 総合 
バイオリンなどに無い、二胡独特の演奏、と言いますか音の出し方が有ります。

掠れた音です。

ある先生が、演奏会で、二泉映月を弾いた時に、最後の部分でその擦れ音がとても気持ち良く聴こえたことが有りました。

これこそ二胡の良さかもしれないとその時に思ったのですが、

自分でやってみて、この掠れ音が出ないのです。

健全に、どの音も小さくともシッカリ鳴ると言う楽器と、この掠れる音と言うのは相反するものなのかと、散々悩みました。

ある時、私としては3年前ぐらいに作った古い楽器を取り出して、何気なく弾いて見ると、

弾き方によってこの掠れ音が出るのです。

皮なのか、胴なのか?

結論からいきますと、相当暑い皮を、ちゃんと張って、その後弾きこんでいくと。

この掠れる音が出ると言うのが解りました。

いくら弾き込んでも、薄い皮だとこの掠れる音と言うのはでないのです。

三味線でも、三線でも底の音がするという言い方が有ります。

低い倍音の事なのか?

なんとなく意味は、解ります。

底の音。

この底の音が掠れ音を作りだします。

ハーモニクスを弾くように、弾くのですが、左手の指が違います。

ハーモニクスを弾くよりもっとちゃんと抑えるのです。

右手は、かなりしっかりと弓の毛がピンと張るように弾きます。

厚い皮の二胡で、かなり弾きこんだものならば、この掠れ音がちゃんと出るはずです。

この底の音がする楽器も、良い二胡、良い楽器と言うことの評価に入れて良いのではないでしょうか。

光舜堂に、50年以上前の二胡が有ります。

円い筒で、丸い棹、黄花梨?の二胡だと思います。

これは良い音ですし、大変良くなります。

皮がとても薄く、向こうが透けて見えるほどではありますが、音色も気持ちの良いものです。

ただ、何か物足りないのです。音に厚みが無いと言いますか、底の音が聞こえません。

ですからなんとなく、子供の楽器と言う、大人の影を持っていないのです。

この50年前の楽器から、中国の二胡作り達は、音に厚みを持たせ、幅を広げて来る努力をしてきたのだと思います。

やはり、厚い皮は良いですね。

音の幅が広がります。

6角形の二胡は音の幅を求めて、どんどん厚い皮を使うように変わってきました。

8角形は音のボリュームを求めて、しっかりした皮をより薄く削り込んできています。

元から薄い皮の鳴りと比べると幾ら薄くても、芯のある音に聞こえますが、この掠れるような音が出にくいというのは有ります。

もちろん演奏の技術でその擦れ音出せる方もいらっしゃいます。

揺れて、擦れて、二胡独特の音と言うのは有るのかもしれません。
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