二胡工房 光舜堂

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薄い皮と厚い皮。

2023-09-21 10:02:24 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
このところ沢山の蛇皮の張替えをしています。同じ一匹の蛇の皮としても厚いところもあれば、薄いところもありますし、また裏の削りぐあいでも厚みは変わります。
蛇皮の厚みというのは分かりにくいです。
ノギスで計っても100分の2ミリおtか3ミリの違いでしかないのです。
先日お預かりした二胡はどうしても外弦の鳴りが悪いのです。
特に開放弦。
音に、音色になり切れないのですね。
ウルフ音も出ます。
そこでウルフ音を止めるところに薄い木を張り込んで、ウルフ音は止まります、
しかし、開放弦の音の悪さは直らないのです。
暫くお手上げで、お客様にお願いして、時間をもっといただくことにしました。他に二胡をお持ちでなかったので、西野二胡を一台お貸ししました。
この開放弦の音色になり切れないのはどうやって直すのか考えながらも方法が見つからず、2ヶ月くらいたちました。
その間現在ご注文のある、花紫檀の制作をしていまして、フト、和紙の張り方を変えたらどうなるのか、(すみませんご注文のお客様、こんなことを繰り返していますのでどうしても遅れます)
今までは和紙を6枚張っていたのですが、今回使っている和紙が、かなり厚いのです。
そこで、枚数を減らしてみました、どうせならと3枚張ってみてから一枚ずつ増やすことにしたのです。
すると3枚の時と6枚の時の差がはっきり出てきました。
同じ胴ですからその差がはっきりするのです。
3枚の時には、この2か月考え続けていた開放弦の音色の悪さが出てくるのです。
一枚ずつ足していくごとに、しっかりした音色になるようになってきます。
皮の厚みが弦の振動を変えるのがはっきりわかったのでした。
そして、最後に張るこのレース和紙(楽水紙、水泡紙)
これだけスケスケですから、弱そうに見えますが、手でちぎりにくいくらいに強いのです、細かい繊維がびっしりと絡みついています。
これはほぉさんが「絶対この紙」と言い張ってCDMNの市が絵にしたものです。
レース和紙は他にもいろいろあるのですが、この円の幾何学模様がどうやら蛇皮の鱗の役割をしているみたいで、他の紙ではいまのCSMの音はしないのです。
最初からこの紙を使えたのは、ほぉさんと二胡神様のお陰です。

さて、しかし、蛇皮の場合まさか厚みを増やすわけにはいきませんね。
多分、この辺が名人と言われる人たちが、胴の木の質と皮の厚みと質を感覚としてつかんでいるのでしょう。
私の場合は、今までは蛇皮張ってダメな時には泣く泣く新しく張り替えていましたが、最近では、胴の木の密度に合いそうなものを張って、良くない場合は一度外して裏を削り込みます。
CDMと違って、反対に薄くしていくのです。
これも、慣れですね、おかげさまで沢山の二胡の蛇皮を張り替えさせていただいて、最近ではそれほど失敗することも無くなりまして、蛇皮の張替えもCDMの張替えも大変お客様にご満足いただいているようです。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ

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2 Comments

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Unknown (海月)
2023-09-27 15:03:44
いまcdmへの張り替えをお願いしたらどのぐらいの期間かかりますか?
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海月さん (nisino)
2023-09-27 17:11:18
CDMの張り替え、今だとおおよそ、3週間くらい!!
10月の20日くらいまでには何とか上がりそうです。
今皮張り混んでいます。
大変ありがたいことです。
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