2004年の漢字は「災」であった。新潟県中越地震、新潟・福島豪雨、福井豪雨、大型台風の連続上陸、浅間山の噴火など、国内で自然災害が多かったことが理由として挙げられる。たしかに、災害の集中した不穏な年度であった。
個人的には、昨年はブログ元年という記念の年度であった。ブログなる発信手段は従来のウェブサイトよりも簡便で、筆者のような情報弱者にも格段に使いやすい。それだけに安易な発信をしてしまう危険も隣り合わせであることを自覚したいとも思う。
さて、「災」という点では、イラク戦争の戦後処理に追われるイラクで人質事件が多発した。4月には日本人市民3名がイラクの反体制武装勢力に拘束・監禁される事件があった。相手の要求は自衛隊のイラク撤退であったというが、政府はこれを拒否、しかし、全員解放された。
ところが、10月にはやはり拘束・監禁された日本人市民1名が今度は殺害されてしまった。前の3名とは別組織によるものだが、自衛隊初となる戦闘地域への派遣が現地で反発されていることが間違いない。元来、憲法上疑義が持たれた派遣である。
アメリカ主体の連合国軍に処刑された戦犯を祀る靖国神社公式参拝にこだわりつつ、アメリカ主体のイラク占領軍に無条件協力する小泉首相の思考過程が見えない。たいていの政治家の思考法は筆者には謎であるが。
一方、被害者であるはずの人質がインターネット上を中心にバッシングを受けたことも不可解なショックであった。かれらがイラク渡航自粛要請を無視したことへのある種社会的制裁であろうか。上の命令には素直に従うことがたいていの日本人の生き方であることからすれば、イラクに渡航した日本人はそうした日本人的生き方から外れた人たちではあった。
そうした点で、プロ野球選手という命令服従文化の権化のような人たちが、労組を組んで史上初のストライキに出たことは印象的であった。億単位の金をもらって何がストか・・・という見方もできようが、今回は賃上げストとは異なり、球団を一つ減らして1リーグ制に変更するという経営側の一方的な制度変更に反対してのことであった。言わば職場を守るためのストである。小さな抵抗運動と言ってもよい。
11月、パレスチナ抵抗運動というより大きな抵抗運動の象徴であったヤセル・アラファト自治政府大統領が死去した。暫定自治合意の当事者でもあったアラファトがいなくなることは、和平と自治の行方にも確実に影響を及ぼすであろう。