( 朝顔 )
朝顔の紺のかなたの月日かな 石田波郷
朝顔の双葉のどこか濡れゐたる 高野素十
朝顔や濁り初めたる市の空 杉田久女
これほど身近な花を詠むのは難しい、身近な上に類想が多い題材
今日の3句、波郷のかなた、素十のどこか、一見曖昧な表現にも感じる
そして久女の句 全てに共通することは「朝顔」一点を凝視したうえで
その裏側に浮かび上がった景色、時間なのだろうと思っています
現実に久女の頭上に濁り初めたる空があり、それを詠ったならば
これほど久女の代表作の一つになるはずがないと感じます
二句一章の単なる取り合わせでは無いことに気づいたのは久女の句に
興味を持ち句集など読み始めてからのことでした